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住民の生の声から見えてきた沖縄県民は真実を知らされていない!-兼次映利加(ジャーナリスト)

県外から見れば、沖縄県民自ら間違った道を選んでしまったようにみえるしかし、現地の生の声を拾ってみると、そこには根深い問題が見えてくるのだ

一億四千万円の七割が県外

今年の四月九日に設立された「辺野古基金」には、一週間で約四千六百万円、二週間では八千九百万円が寄せられた。この勢いはとどまることなく、五月七日までに一億四千万円余りの寄付が集まった。

基金の目的は米軍普天間基地の移設計画に反対することであり、集められたお金は県内外のみならず、国外のメディアにも意見広告を出すのに使われる。

共同代表に、人気アニメーション映画の監督である宮崎駿氏が就任するなど大きな話題となる一方で、寄付金の七割は県外からのものという報道もある。五月二日付の琉球新報ではこれを「新基地建設問題に対する関心が全国的な広がりを見せていることをうかがわせた。」と報じ、続けて準備委員会の新里米吉代表の「沖縄以外の人も何らかの形で辺野古の問題に関わりたいという意思表示でもある。心強い連帯の証しだ。」というコメントを紹介した。

たしかに、沖縄の問題を全国の人が我が事として捉えて支援をするのは良いことだが、集まった基金の七割が県外からのものだと聞いて私の頭にある事がよぎった。それは度々訪れる辺野古の浜辺にある違法テントの様子だった。

反対運動に真の地元民なしの現状

昨年の春にテントを訪ねた時、中にいたのは女性二人、男性二人で、純粋な沖縄の人は男性一人だけだった。唯一受け答えをしてくれた女性は、最初に私が「地元の方ですか?」と訊ねた時は「そうです。近くに住んでいます」と話したが、十分ほど話して改めて「もともと沖縄の方ですか?」ときくと「もともと埼玉だけど、十年ぐらい前に初めて旅行で沖縄に来て、沖縄に興味を持った。仕事を定年退職して、今はこっちに住んでいるの。だっておかしいじゃない、沖縄に基地を押し付けるのは」とのことだった。

今、辺野古の地元に住んでいるのは間違いないのかもしれないが、やはりよく言われるように県外からに来ている中の一人ということらしい。その女性の話が表すように、テントの中はカクレクマノミの絵や千羽鶴など、全国から支援に届けられた品々で飾り付けられていた。

一昨年にオスプレイ配備反対・基地移設反対を唱える者たちが宜野湾市役所前を占拠していた時も、テント内は同じように飾り付けられていた。そしてテーブルの上に置かれた芳名帳らしきノートには、訪問者の名前と住所、寄付金の額が記載されており、住所の九割は県外のもの......。移設に反対する人の中にはもちろん地元沖縄の人もいるが、多くは先の女性のように県外からの移住者であることがわかっている。

また県外どころか、基地を囲むフェンスにはハングル文字が書かれていたりすることからもわかるように、普天間基地移設を支持しているのは生粋の沖縄県民ではなく外部から来た人が中心となっている。

冒頭の「辺野古基金」の共同代表には、地元大手企業である金秀グループ会長の呉屋守将氏や、かりゆしグループ最高経営責任者の平良朝敬氏など数人が名を連ねるとは言え、外部からの寄付額が占める割合は、経過とともに更に大きくなるだろうと考えられる。資金も人員も、もはや世界中から小さな沖縄に集結され、覇権を勝ち取る代理戦争はますます激化する。今、沖縄の本当の地元民は蚊帳の外状態であるし、またそうなるようにコントロールされてきた。

県知事選挙、県民の本音

「県知事選挙はもちろん行ったよ。移設以外に何がある?ジュゴンを選ぶか、自分の子の雇用を選ぶかとなったら、それは雇用をとるでしょう。母親は『なぜ沖縄だけに?』と言って反対しているけど、兄も僕と同じ考えだよ。同級生の間でも基地に反対の人はいないけど、ただ本当に自分の意思で投票しているのかと言えばそうではないね。沖縄の未来を考えて投じるんじゃなくて、付き合いの面は大きいね。僕が勤める業界では会社や取引先の繋がりが強くて、投票所の前に名簿を持って立っている人がいるんだよ。それで、誰が投票に来たかチェックをする。来てない人には『待ってるのに』と電話がかかってくる。そういう付き合いだね。」

そう話してくれたのは那覇市に住む三十代の男性だ。前回の県知事選挙と基地問題について訊ねた際の反応だ。また首里に住む二十代の女性は次のように話す。

「投票は行ったし、基地に反対なんて全然考えません!中国がこわいのを知っているから。私ははっきり言って、埋め立ても山の切り崩しも本当は嫌だけど、反対派の人たちは環境問題を訴えている割に糸満の埋め立てや他のゴルフ場建設には沈黙しています。そこにむしろ不信感を持ってしまう。それに環境問題を極めると、今の便利な生活はできなくなっちゃうしね。七十才近い母親は、『このままでは戦争になる』と言って基地には大反対です」

一方、社会や政治にまったく興味がないという県民ももちろん多い。

東風平町に住む二十代の男性は、「後から聞いて、投票あったんだー、みたいな感じ。全然興味ないし、基地に賛成も反対も無い。親は僕が小さい時から選挙があれば必ず行っていたけどね。トゥジ(妻)とそんな話をすることもないな。でも辺野古の現場で仕事をする時があって、反対運動をしている人たちを見たけど、暇だなあいつら、とは思った。変な歌とか歌っているし、平日の昼間から毎日あんなこと普通できないだろ。上司と話していて、金が絡んでいるんだろうなとは感じたよ」

反基地は本当に民意?

また二十代の県職員は同じ質問に次のように答えた。

「労組からは翁長さんにいれるように頼まれていましたよ。知事が代わったからと言って方針が変わると、一貫性が無くなりますよね。国との関係も悪くなって、県庁内も雰囲気悪いですよ。今以上に反対の気運が高まったとしても、国と対立して勝つのは無理だし、翁長知事もそれは承知の上なんじゃないかな」

質問を続け、「基地の存在や移設問題の先に、日米同盟が左右される可能性があることを意識している人は近くにいますか?」と訊くと、「同盟を揺るがす可能性があることは、県職員もばかじゃないからわかっていると思います。むしろアメリカとの同盟を解消して、自立しながらアジアの国々と協力したいと考えている人は結構多いと感じます。周りには反対の人が多いですよ。移設反対の署名とかもあって、回覧でまわってきたりするとほとんどみんな名前を書いているんじゃないかな。上司もそれを見ますしね」
とのことだった。

この他にも、「アメリカが戦闘機のルートや飛行時間の夜間制限をきちんと守れば、もっと変わると思う」という意見や「裁縫教室の七十代の先生は『基地を造りながらアメリカはそのうち中国に寝返る』と話していた」という県民の思いを伝えてくれた声もあった。

このように地元の人に話を聞いていくと、沖縄の人が基地に対し、それほど強烈なアレルギーを持っているとは思えなかった。

在任中から一貫して「普天間基地の危険性の除去(移設推進)」と鉄軌道などの「地域振興」政策を訴えてきた、元名護市長の島袋吉和氏も、現在辺野古にあるキャンプ・シュワブはもともと地元の人が誘致をして建設されたと話していたし、辺野古近辺の人からは「昔この辺りは農村で、何も無かった。基地があれば地元は潤うし、雇用も増えたんだから今更反対と言うことはない」との話も多い。

県民にも正しい情報が届いていない

ではなぜ、冷静な県民の声がかき消され、「沖縄=基地反対」または「沖縄」対「日本」のような構図が当然になっているのか。

一つの大きな問題として、沖縄におけるメディアの偏向の度合いがある。沖縄に詳しい人には目新しい情報ではないと思うが、沖縄の新聞・テレビ・ラジオは長年にわたり県民の目を隠し、耳を塞ぎ続けてきた。本土のようにいろいろな切り口を持つ新聞社が複数あれば読者のバランスも保たれるが、沖縄で大手の新聞を購読しようとすると輸送に時間がかかるため、その日の新聞が届くのは午後になってから、尚且つ購読料は本土の倍近くかかるという状況だ。これでは地元のメディアに頼るしかない。

そこへきて地元二紙は毎日同じように「基地が危険」、「オスプレイ反対」、「悲惨な沖縄戦」などのキャンペーンをしながら、裏では「読者の交換」もしている。それは何かと言うと、あるお宅で沖縄タイムスの販売員が三ヶ月の購読をとりつけたとする。すると沖縄タイムスの販売員は琉球新報の販売員に「ここは三ヶ月の購読をとったから、次はそのタイミングで営業に行くといい」というようにして、次回はその逆......と、それを繰り返して販売員同士でも共闘をしているのだ。

東京で朝日新聞と産経新聞を交互に購読するというパターンは聞いたことがないが、もともと沖縄の地元二紙の記事には大差がないため、読者も違和感なく受け入れることができるのだろう。連日、戦争の悲惨さと日本軍に対する憎悪を煽る記事を読み、反基地を訴える政治家を賞賛する報道のシャワーを浴びせられたら、沖縄の人でなくとも簡単に洗脳できるような気がしてくる。

同じことを毎日報じ続けているうちに、受け手はいつの間にか普天間基地が市街地にあることや、それによって危険と隣り合わせの生活を強いられている宜野湾市民の存在を忘れてしまう。

本来ならば沖縄のメディアは、「米軍基地や自衛隊が沖縄に戦争を招く」という論調だけでなく、各国の軍事費の増減や、近隣諸国での基地負担による問題と解決策や、環境に与える影響と打開策など、あらゆる角度から読者に情報を与えるべきだと思う。できればそれだけでなく、お隣の国、中国が周辺の地域を着実に侵略し、領土を広げ続けていることも我々沖縄県民に正しく伝えてほしい。

先に紹介した地元の方の中には、「翁長知事が市長時代、移設を容認していたことや集団的自衛権に前向きな考えだったのに、今はそれらに反対していることについてどう思いますか?」との問いかけに、「そのこと自体知らなかった」と驚く人もいた。また、「中国や北朝鮮では選挙も投票もなく、政治家を選ぶ自由もありません。選挙で政治家を選べるのは、実はありがたいことですね」と話しかけると、「そうなんだぁ」と目を丸くしていた。

必要なのは「正しい情報」

もしもあの県知事選挙で、メディアが仲井眞前知事を「公約違反」とバッシングするばかりでなく、翁長知事の方針の転換についても公平に報じていたらどうだっただろうか。

あの名護市長選挙で、もしもキャンプ・シュワブ誘致の経緯や戦後沖縄で行われたジュゴンの乱獲が報じられていたらどうだったろうか。過ぎたことに「もしも」と考えを巡らせることには意味がないとわかりながらも、報道のあり方によって世論は多少なりとも変化すると思えてならない。

沖縄の人々はメディアやその背後にある思惑によって、真実を奪われている。そして野望を持った一部の人間によってあてがわれる情報を真実だと思い込まされて、思考を支配されている。強力な洗脳作戦のまっただなかにある沖縄の人の心を探るよりも、今本当に必要なのは正しい情報を一人でも多くの人に届けることなのだと思う。

沖縄だけではないが、中国がチベットや東トルキスタンに行っている非道の数々が新聞で報じられることはないし、日本が世界の国々にいかに愛されて尊敬されているかが伝えられることもない。戦前を含めて、日本がアジアで行った併合統治は、それまで約五百年続いた白人の植民地支配とも、現在の中国の近隣国侵略ともまったく異質なものだった。琉球賛美や大陸賛美も良いが、それだけでは沖縄は昔返りをすることはあっても栄えることはないだろう。

私たちは少しずつでも真実を伝え続けなくてはならない。メディアだけでなく教育現場にも洗脳の枝葉が伸び続ける中で、限られた媒体で発信していくのは地道な作業だが、決して怒らず、決して見放さず、私たちの想いと普段の活動がきっと沖縄の未来を照らすと信じて。

かねしえりか 那覇市生まれ。高校卒業後、進学のため上京。会社勤務の傍ら、八重山日報に連載『在京OL悲しみの日』を執筆中。共著に『国防女子が行く(』ビジネス社)。

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