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 みんなと意見が違っても、自分が思ったことを言えるのか。つい隣の人の主張に合わせてしまわないか。そんな人の心の動きを調べる実験が、大阪大学(大阪府吹田市)で繰り返されていた。

 5月下旬。人間科学部の研究室で、3人の被験者が並んだ。数メートル先のホワイトボードの両端には、紙が貼られていた。左の紙に書かれているのは1本の線。右には長さが少し違う3本の線が並ぶが、そのうち1本は左の線と同じ長さになっている。釘原直樹教授(62)が被験者に尋ねた。「右の3本から、左の線と同じ長さのものを選んでください」。被験者の答えを順番に聞き終えると、別の線が書かれた紙に貼りかえて同じことを質問。そんなやりとりを12回繰り返した。

 実は、ちょっとした「ドッキリ」を仕掛けてある。本当の被験者は「最後の回答者」で、その前に答える2人は「ドッキリ協力者」だ。12回の実験のうち、事前に指定した回でわざと間違った答えを言うよう指示しておく。その「偽回答」に、最後の回答者が影響されるかどうかを調べるのが目的だ。実験の様子は撮影し、別室で学生がモニターを確認しながら結果を記録していた。