おかえりクロマグロ!葛西水族園半年ぶり50匹以上に

2015年6月22日6時0分  スポーツ報知
  • マグロが元気に泳いでいたころの葛西臨海水族園の展示水槽(2014年3月撮影=東京動物園協会提供)

 昨年12月からクロマグロが大量死する問題が起きていた葛西臨海水族園(東京都江戸川区)で21日、約80匹のクロマグロが搬入された。22日から一般公開される。3月24日以降、1匹だけになってしまっていたが、別の魚を水槽の中に入れて環境を確認し、この日の“復活”にこぎつけた。久々に群れで泳ぐマグロの姿は、来場者の大きな注目と人気を集めることになりそうだ。

 たった1匹のクロマグロが寂しそうに泳いでいた水槽に、約3か月ぶりに“仲間たち”がやって来た。21日午後5時の閉園後、クロマグロを職員がメインの水槽「アクアシアター」に数度に分けて搬入。午後8時前に作業が終了した。50匹以上のクロマグロが水槽内を回遊するのは、昨年12月27日以来、約半年ぶりとなる。

 新たなマグロは体長が80~90センチ、体重は10~13キロほど。高知県の海で養殖されていた。昨年の春ごろに生まれた1歳の個体で、同園は「過去の経験から、時期的にも大きさ的にも最も生存確率が高いものを選びました」と説明した。

 過去にマグロを追加する際には、水槽の中にすでに群れがあったため「先にいるマグロについて泳ぐ形で、比較的早く環境に慣れることができた」(同園関係者)という。だが、今回の場合は年齢の離れた「先輩マグロ」が1匹いるだけ。そのため、作業には細心の注意を払ったという。

 水槽のアクリル板に、外側から幅5センチの黄色いテープを上の方は25センチ四方の格子状に、下部は同じ間隔で縦じまに貼りつけた。マグロに「壁」があることを認識させ、衝突して死ぬことを防ぐためで、マグロを生きたまま船や車で運ぶ際にも、同じような処置を施すことがあるという。また、夜間も照明を点灯し、明暗による環境変化をつけないようにもした。

 来場客側から見ると、マグロが檻(おり)の中に入っているようで、回遊する様子が見にくくなるのは否めない。しかし、同園では「マグロが死ぬのを防ぐためということで、理解していただければ」と話している。

 クロマグロに先立ち水槽に入れられたマグロ類のハガツオは21日現在で16匹、スマは14匹。いずれも搬入時より個体数が減っているが、新たに魚を水槽に入れた際に一定数の個体が死ぬ「初期減耗」の範囲内とみている。最近は、両種とも状態が落ち着き、エサもよく食べているという。また、3~4月に入れられたアカシュモクザメとタカサゴ類は、一部は既に別の水槽に移動。最終的には、以前同様にマグロ類だけが回遊する形にする予定だ。

 ◆葛西臨海水族園のマグロ大量死の経緯

 ▼2014年12月 回遊魚を展示する水槽内にいたクロマグロ、スマ、ハガツオが相次いで死にはじめる。

 ▼2015年1月19日 スマが全滅。

 ▼26日 ハガツオが全滅。

 ▼3月24日 クロマグロが残り1匹に。

 ▼30日 アカシュモクザメ2匹を搬入。

 ▼4月1日 タカサゴ類約500匹を搬入。

 ▼5月15日 ハガツオ21匹を搬入。

 ▼22日 スマ29匹を搬入。

 ▼6月21日 クロマグロ約80匹を搬入。

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