物件売却妨害容疑:元医師の男逮捕 警視庁

毎日新聞 2015年06月22日 15時00分(最終更新 06月22日 15時14分)

 売却を妨害する目的で他人が所有するマンションに自分の住民票を移したとして、警視庁組織犯罪対策3課は22日、東京都中央区築地4、元医師、橋本和夫容疑者(75)を電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で逮捕した。橋本容疑者は総会屋として認定はされていないが、捜査関係者によると、上場企業など約800社の株を保有し、株主総会に出席しては不規則発言などを繰り返すことで知られていた。

 今年は6月26日が株主総会の集中日にあたり、同課が動向を注視していた。

 逮捕容疑は3月下旬、実際には住んでいないにもかかわらず、他人が所有する都内のマンションに住民票を移したとしている。マンションはかつて橋本容疑者が所有していたが、その後に不動産会社が購入していた。同課は、不動産会社が物件を売却するのを妨害する目的だったとみているが、容疑を否認しているという。

 捜査関係者によると、橋本容疑者は昨年、都内で179社の株主総会に出席し、124社で発言した。不規則発言で総会の進行を混乱させることもあり、企業担当者の間で警戒されていた。今回の事件でマンションを所有していた企業の親会社の株も保有している。

 今年、都内の上場企業が開いた株主総会では議長不信任動議を出し、否決されても騒いだため退場命令を出された。

 また、別の上場企業に対しては事前に「1番」の入場票と、株主総会で出席者に渡される「お土産」を電話で要求。しかし当日は姿を見せず後日、受け取りに来たという。

 今年は1〜5月だけで既に都内65社の株主総会に出席し、47社で発言。うち12社で不規則発言などを理由に退場命令を受けたという。【福島祥、宮崎隆】

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