菅義偉官房長官は22日の閣議後の記者会見で、安倍晋三首相が夏に発表する戦後70年談話について、政府が閣議決定しない案を検討していることを認めた。「最後は首相が判断する。有識者懇談会のみなさんの意見を聞きながら、そういうことも含めて判断したい」と述べた。
首相は、中国や韓国が注視する「植民地支配と侵略」や「おわび」の表現を談話に盛り込むことに否定的な考えを示している。戦後70年を機に歴史認識問題に一定の区切りをつけ、未来志向に踏み出したい意向という。70年談話を閣議決定しない案は、首相個人の見解にとどめ、中韓両国に一定の配慮をみせる狙いがある。
閣議決定は、全閣僚が閣議書に花押を書き、政府全体の意思とする行為だ。戦後50年の村山富市首相談話や戦後60年の小泉純一郎首相談話はいずれも閣議決定し、政府の歴史認識の公式見解となっている。一方、夏の安倍首相談話が閣議決定されなければ、公式な色彩が弱まり、過去の談話との位置づけが変わる。閣議決定しなくても首相の談話が重みを持つのは変わらず、韓国や中国が反発しない保証はない。
閣議決定には公明党の太田昭宏国土交通相など閣僚全員の署名が必要だ。公明党は政府との事前調整を求めており、政府が応じれば文言に注文がつく可能性がある。自民党内にも侵略やおわびを明記すべきだとの意見がある。
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