維新の党:安保関連で3対案 集団的自衛権の要件厳格化
毎日新聞 2015年06月19日 21時27分(最終更新 06月19日 23時17分)
維新の党は19日、安全保障調査会(会長・小野次郎参院議員)を開き、政府の安全保障関連法案の対案を全会一致で了承した。集団的自衛権の行使を限定容認する一方、経済的要因だけで認めないよう、日本への武力攻撃が発生する危険が切迫していることを要件に加え、厳格化した。20日に最高顧問の橋下徹大阪市長と意見交換した上で正式決定。自民党などとの修正協議に臨む。
了承したのは、自衛隊法など既存の10法の一括改正案▽他国軍を後方支援する恒久法の「国際平和協力支援法案」▽武力攻撃に至らないグレーゾーンに対処する領域警備法案−−の3本。
一括改正案では、集団的自衛権の行使を容認する条件として、政府案の「存立危機事態」に「日本への武力攻撃が発生する明白な危険が切迫している」との文言を加えた。また自衛隊の他国軍への後方支援について、政府案が事実上の地理的制約をなくすのに対し、維新は地理的制約を維持。米国以外の他国軍隊も支援できる政府案に対し、従来通り米軍のみを対象とした。
自衛隊を後方支援に派遣するための恒久法を作る点は政府案と同様。ただ、政府案が経済制裁などに関する国連決議でも派遣可能とし、活動地域を「非戦闘地域」から「現に戦闘が行われている場所」以外に拡大したのに対し、維新は国連の武力行使容認決議を条件とし、「非戦闘地域」概念を維持するなど四つの歯止めを設けた。領域警備法案では、武装集団による不法上陸が起きかねない離島などを「領域警備区域」に設定。自衛隊の治安出動や海上警備行動の発令に閣議決定を必要としないなど、手続きを迅速化する。
橋下氏は維新案を「歯止めが不十分で国民の理解は得られない」と指摘しており、19日、自らのツイッターで重ねて批判、自分の案を松野頼久代表に伝える考えを示した。【福岡静哉】