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日韓国交正常化50周年! こじれにこじれた両国関係に解決策はあるか

現代ビジネス 6月22日(月)6時2分配信

日韓共通で研究すべきは、現代史よりも古代史

 最後に、日韓国交正常化50周年を機に、提案したいことが一つある。それは、日韓共同での歴史研究である。

 歴史研究といっても、日本の植民地支配や慰安婦問題といったことではない。「謎の古代史」を共同で研究するのである。

 日本の古代史は、謎だらけである。『古事記』『日本書紀』に書かれた日本の建国神話はどうやって形成されたのか? 卑弥呼が統治したという邪馬台国はどこにあったのか? 大和王朝とは何だったのか? 4代にわたって日本を牛耳った蘇我氏とは何者か? 聖徳太子はなぜ隋の皇帝に非礼な書を送ったのか? 大化の改新とは何だったのか? 白村江の戦いはなぜ起こったのか? 
 日本の歴史学者たちは、こうした疑問に対して、日本人の誰もが納得するような解答を与えてこなかった。それはひとえに、狭い日本列島の枠内だけで日本史を解釈しようとしてきたからに他ならない。

 私は昨年秋に、福岡県宗像市に数日間滞在した。その時、朝鮮半島から日本列島に舟が無事に着いたことを天に感謝した宗像大社を見学したり、玄界灘から朝鮮半島方面を眺めたり、地元の学者の話を聞いたりしながら、「国境のなかった古代」に思いを馳せた。

 そこから韓国人学者たちが書いた論文を読み始めたら、かつて高校で習った「日本史」とはまったく異なる世界が展開されていることを知って驚愕した。当時の朝鮮半島と日本列島を「一つの生活圏」と考えれば、「日本古代史の謎」の多くは解けるのである。

 折りしも日本に残る韓国文化に関しては、日韓国交正常化50周年を記念して、韓国文化院が『日本の中の韓国文化』という45分ほどのDVDを製作した。それを観ても、古代における「日韓一致」がよく分かる。

 ともあれ、これから日韓共通で研究すべきは、現代史よりも古代史である。古代史研究が進み、「日韓同源」だったというところから、両国の和解が進めばと願う。

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 【今週の東アジア推薦図書】

 『世界を動かすエリートはなぜ、この「フレームワーク」を使うのか?』
原田武夫著(かんき出版、税込み1,620円)

 東アジア関連の図書ではないが、著者の原田武夫・国際戦略情報研究所代表取締役は、外務省北東アジア課北朝鮮班長として、北朝鮮に乗り込んで、横田めぐみさんを始めとする拉致被害者救出に尽力した元外交官である。その最前線での経験から来る分析は的確で、いつも感心させられる。

 外務省という「井の中の蛙」は、原田氏のスケールには合わなかったようで、2005年に飛び出して、自らの研究所を創った。そして10年間にわたって、六本木ヒルズ近くの高層オフィスから、様々な発信を続けている。

 本書は、そんな原田氏の最新の「思考」をまとめたものである。1971年生まれの原田氏は、団塊ジュニア世代で、独特な発想で世界を見ている。原田氏によれば、いまの日本は「管理型人財」(リスク回避とコスト削減を最優先する人々)が会社内に蔓延ることにより、「創発型人財」は徹底して隅に追いやられていっているという。ソニーなどはその典型例だろう。そうした社会を生き抜くために有用なのが、「類推法」というフレームワーク(枠組み)なのだという。

 「原田ワールド」に浸って、自己と日本と世界を見つめ直す。それにしても、「管理型人財」>「創発型人財」が今後とも続くのならば、日本の将来について悲観的にならざるを得ない。

 著者: 近藤大介
『習近平は必ず金正恩を殺す』
(講談社、税込み1,620円)
中朝開戦の必然---国内に鬱積する不満を解消するためには、中国で最も嫌われている人物、すなわち金正恩を殺すしかない! 天安門事件や金丸訪朝を直接取材し、小泉訪朝団に随行した著者の、25年にわたる中朝取材の総決算!! 

 著者: 近藤大介
『日中「再」逆転』
(講談社、税込み1,680円)
テロの続発、シャドー・バンキングの破綻、そして賄賂をなくすとGDPの3割が消失するというほどの汚職拡大---中国バブルは2014年、完全に崩壊する!  中国の指導者・経営者たちと最も太いパイプを持つ著者の、25年にわたる取材の集大成!! 


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近藤 大介

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最終更新:6月22日(月)6時2分

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