特定秘密:国会報告を閣議決定 指定382件、3割が暗号
毎日新聞 2015年06月22日 11時04分(最終更新 06月22日 12時48分)
政府は22日午前、特定秘密の指定や解除に関する国会報告を閣議決定した。対象期間は、国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法が施行された2014年12月10日から31日までの22日間。各行政機関が指定した382件(文書数は複数の機関の重複分も含めて18万9193点)のうち3割が、公電の秘密保持や海外の連絡に用いる暗号に関する情報だった。特定秘密に関する国会報告は初めて。
同法は、特定秘密の指定状況などを首相が国会に年1回報告するよう規定している。指定件数は1月、保有文書数は4月にそれぞれ内閣官房が公表した。
指定の382件を種別に分類すると、暗号が113件で最も多かった。情報収集衛星の分析対象などの情報が85件、武器の性能等の情報が57件だった。特定秘密の解除はなかった。
行政機関別の指定状況は、防衛省(247件)で暗号85件▽武器の性能等の情報57件▽自衛隊の運用計画等の情報55件−−が多数を占める。内閣官房(49件)は情報収集衛星に関わる暗号が23件と最も多かった。外務省(35件)は北朝鮮の核・ミサイル開発や日米安保協力に関する検討、竹島問題の交渉・協力の情報をそれぞれ1件指定するなどした。総務省の2件はいずれも在日米軍が使用する周波数だった。
一方、指定した文書に関する説明では「人的情報の収集情報」(警察庁、公安調査庁)や「外国政府との情報協力業務の情報」(外務省など5機関)など具体性を欠く表現が目立ち、特定秘密に指定した理由も明らかにしていない。指定状況を監視する内閣府の「独立公文書管理監」が行った文書の調査回数などは公にされず、チェック機能の検証ができない状況だ。
特定秘密を扱えるかどうか、担当者の身辺を調べる「適性評価」の実施件数や不適切な秘密指定に関する内部通報件数なども報告義務があるが、今回の報告ではゼロだった。
報告書では、今回の公表内容に関し、大学教授や弁護士などの有識者で構成する「情報保全諮問会議」から出た意見として、「指定状況の記述を一層具体化することに努めるべきだ」「独立公文書管理監の活動状況の報告も添付すべきだ」などがあった。報告書は22日午後以降、内閣官房のホームページで公表される。【松本晃】