日韓国交正常化50周年! こじれにこじれた両国関係に解決策はあるか
現代ビジネス 6月22日(月)6時2分配信
だがその一方で、立場を変えて考えると、日韓における慰安婦問題は、日朝における拉致問題と、ある意味似たところがあるのも事実だ。
第一に、どちらも完全に過去に起こった問題であり、現在とは無関係である。第二に、一方は政権の最重要課題に掲げているが、もう一方は「解決済み」として無視しているという凄まじいまでの双方の「落差」。第三に、前者の国では国民的関心を呼び、国内でさまざまな活動が行われているため、それらが盛り上がるほど、相手国に対する敵対心が高まっていく。そして第四に、前者の国では敢然と拳を振り上げたものの、実際には政府はどう解決してよいか悩んでいる。
そうした観点から、日本人が拉致問題を一刻も早く解決したいと思うのと同じ感情から、慰安婦問題を解決に導けないものかとも思えるのである。
実は、慰安婦問題について話を聞いた二人目の黒田勝弘産経新聞客員論説委員も、同意見だった。1970年代から数えて、韓国生活通算30年以上という、日本最長不倒の韓国通ジャーナリストだ。黒田氏は次のように述べた。
「私は朴槿恵大統領がまだ政界に入る前から、産経新聞の支局と彼女の財団が同じ京郷新聞の10階と11階にあったことから面識があり、彼女をよく知っている。朴槿恵という人は一言で言えば、『いつも清く正しく美しくいたい人』だ。だから『汚れ役』を演じられず、この2年半のめぼしい成果もないことから、慰安婦問題を前面に掲げ、これを何とか解決したいと必死になっている。
そんな朴槿恵大統領のホンネは、『何とか日本側に、私の面目が立つ形で慰安婦問題を処理してほしい』というものだ。安倍政権はこれまで無視していたが、慰安婦問題はアメリカなどにも飛び火していて、日本としても慰安婦問題がこれ以上、国際問題化していくことは望まない。
そこで、こんな解決の仕方はできないだろうか。まずは近く、安倍首相と朴槿恵大統領とが初めてとなる日韓首脳会談を開く。その場で朴槿恵大統領が、『慰安婦問題を早期に解決してほしい』と持ちかける。安倍首相は『何ができるか考えましょう』と答える。つまり日韓首脳会談を、慰安婦問題解決の場ではなく、解決に向けた合意の場とするのだ。
そして実際に、日本の側から、何らかの対応をしてあげる。例えば、慰安婦問題を解決するための財団を新たに創り、その財団が元慰安婦たちに対処する。その代わり韓国側は、日本の国家的法的責任を改めて取り下げるというものだ」
黒田氏の言わんとするところは、私には理解できる。私も大統領に就任する前の朴槿恵氏に、単独インタビューしたことがあるからだ。
その時、彼女に生まれてから現在までのことを、一通り聞いた。その中で彼女が、「趣味は読書」と言うので、「最近感動した本は?」と聞いたら、「いまエリザベス1世の伝記を読んでいます」と答えた。「『私は国民と結婚した』という英国の処女王の生き方に憧れているのです」。こうした物言いは、まさに黒田氏が言う「いつも清く正しく美しくいたい人」だ。韓国語で言う「コンジュニム」(公主様)である。
また、インタビュー全体を通して、朴槿恵という政治家がものすごく親日的な人だという印象を持った。彼女は言葉の端々に、まるで女子高生のように喜々とした表情で、「日本の○○は素晴らしい」と連発した。例えば和食の話になった時に、こう述べた。
「日本の懐石料理は素晴らしい。最初に饗される先付けからして、細やかな盛りつけで、思わず目を瞠ってしまうほどです」
私が、「父・朴正煕元大統領のもとでファーストレディを務めながら学んだことは何ですか?」と尋ねたら、少し考える素振りを見せた後、次のように答えた。
「それは常に最悪のケースを考えながら物事を進めることです。父は常々、こう言っていました。『韓国人は何事も楽観的に進めるから、大きな落とし穴に出くわす。だが日本人は常に最悪のケースを考えながら、慎重に物事を進めるから、間違いがない。だからわれわれは、日本人に学ばなければならない』。この父の教えが、いまでも脳裏にこびりついています」
こうした物言いも、黒田氏が指摘するところの「朴槿恵大統領のホンネ」と平仄が合う。つまり、「韓国国民の前での演技としての反日」という側面だ。
読み込み中…