北村有樹子、中村通子
2015年6月22日00時13分
森永乳業の粉ミルク製造過程でヒ素が混入し、飲んだ乳児130人が死亡、1万3千人に健康被害が出た森永ヒ素ミルク事件(1955年)から今年で60年になる。被害者は高齢化し、障害の重度化に不安を募らせている。
被害者らでつくる「森永ひ素ミルク中毒の被害者を守る会」(事務局・大阪市北区、会員約2200人)の全国総会が21日、岡山市で開かれた。各地の会員代表196人と、厚生労働省や森永乳業の関係者ら計約280人が出席した。
最初に、亡くなった被害者に祈りを捧げた。「守る会」理事長で被害者の桑田正彦さんは「私たちは60歳になった。事件の風化防止や高齢化に備え、一層、取り組みを強化しなくてはならない。被害者がこの世からいなくなるまで、運動を続けていく」とあいさつした。
被害者の救済にあたる公益財団法人ひかり協会(本部事務局・大阪市)によると、これまでに明らかになっている被害者数は1万3440人。このうち、896人(今年3月末時点)に知的障害や肢体障害などがある。協会は訪問相談や検診に基づいて支援計画を立て、障害の程度に応じた手当の支給や生活・就労支援に取り組んでいる。経費は森永乳業が負担。近年は年約17億円、これまでに計約517億円を拠出した。
被害者が年をとり、障害の重度化や単身で暮らす人たちへの生活支援が課題となっている。
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