砂糖を減らすと、自閉症の症状が軽くなる可能性が、世界トップクラスの精神分野の国際誌で報告されている。
米国疾病対策センター(CDC)の研究グループが、モラキュラー・サイカイアトリー誌で2015年6月9日に報告した。
社会を避けたり反復行動に陥ったり
自閉症は、専門的には症状が多様なので、虹のスペクトラムになぞらえて、専門的には自閉症スペクトラム障害と呼ばれる。
見られる状態としては、社会の仕組みを守ることを避けたり、反復行動に陥ったり、コミュニケーションに障害を起こしたりするというもの。
研究グループは、自閉症スペクトラム障害と診断された人の数は過去20年間で劇的に増加していると説明している。世界中の人口の2%に見られるなどとも説明されている。
食生活の変化も要因?!
複数の要因が組み合わさって起こる発達障害の一種と位置づけられている。
いくつかの遺伝子が関連していると分かっており、特定の遺伝的変異体が疾患に特有の行動と関係があると徐々に分かってきている。
そうした原因の一つとして、食生活の変化は、考えられる多くの要因の一つである可能性がある。
糖の影響を検証
研究グループは、自閉症の症状を示すネズミの症状を調べて、糖の影響を検証した。
糖が体でどのように使われているかを調べるために、糖が体で使われたときに出てくる「ジカルボニル・メチルグリオキサル」という物質について検証している。
その濃度低下が動物で自閉症の症状を軽くするか検討した。
妊娠マウスに血糖を高めるエサ、あるいは血糖を下げるエサを与えて、誕生、離乳後のその子どもにも同様なエサを与えて、離乳後の行動への影響、血液検査などを実施した。
血糖を上げると自閉症の症状
結果として、血糖を下げるエサを与えていると、自閉症の症状を軽くすると分かった。
逆に、血糖を高めるエサを与えられていると、予測される自閉症のあらゆる症状を示していた。例えば、目的のない反復行動に陥っていたり、社会的なやり取りもうまくいかなくなったりしていた。
炎症が強くなっている
さらに今回の研究では、血糖を高めるエサを与えると、血糖を下げるエサを与えた場合と比べて、発達するときに神経細胞で出てくる「ダブルコルチン」と呼ばれる物質が極端に少なくなっていると分かった。記憶をコントロールする脳の部位で特に欠乏していた。
その上に、血糖を高めるエサを与えられると、脳にいつも存在する異物に抵抗する免疫を担う「ミクログリア」と呼ばれる細胞が増えていた。炎症に関係する遺伝子の働きが高まっていた。
自閉症の子どもに関する研究で、免疫系の活性化が示唆されていた(自閉症の原因に新事実が判明、脳の免疫を担う「ミクログリア」が関与)。新たに裏付けられたことになる。
文献情報
Low glycemic index diet reduces symptoms of autism in mice
http://www.salk.edu/news/pressrelease_details.php?press_id=2087
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