新世紀エヴァンゲリオンの時系列では、本編で特定の日時が起こったのがいつなのか、ある程度整理されて書かれている。
本編の時系列は、様々な方面から一時資料のみのものや予想や推理を含めたものまで多くが発表されている。しかし制作側は、本編では日時に関する設定はしておらず、地軸が傾いたことに由来する常夏の設定も敢えて日時を定めないことの要請であるという話もある。各キャラクターの誕生日は後付けであり、2年A組の生徒は誕生日にかかわらず全て14歳である。有名な惣流・アスカ・ラングレーの誕生日のパラドクスはこのことより生じる。それでも劇中に出てくる時間などはファンフィクション(FF)執筆などの場合の貴重な資料であることも多く、時系列についてまとめることは意味がある。詳しくは[[Note::新世紀エヴァンゲリオンの時系列|ノート]]を参照のこと。
時系列については、テレビ放映された本編の時系列を先に示し、放送以前の設定である脚本については後に示した。
本編および本編を基にした一次資料からの時系列
本編およびその資料から読み取れる情報は以下の通りである。これには議論の余地があるものも掲載されており、その日時の後ろには?マークが記載されている。今後のノートでの議論によって、?マークがついた日付は少なくなってくるものと思われる。
以下の時系列において9月16日までの日付については、最終話に出てくる碇シンジの住民登録票の作成日「8月15日」が唯一の基準になっている。第七話までのエピソードが9月20日を越えないという条件の下で、シンジの第3新東京市来訪を可能な限り8月15日に近づけた時系列が以下である。しかし詰め込みすぎの観は否めない。8月の最中に学校へ通うというのは不自然であろう。この日付にそこまでの強い拘束力はないとすれば(そもそも住民登録票とは何であるか?転入届なのか、住民票原本なのか、発行された住民票の写しなのか)、下の第四話脚本の日付なども参考にしつつ、より自然な時系列を組むことも可能である。
2015年7月
- 2015年7月15日(水)?
- ネルフ本部の第2実験場にて零号機の起動実験を行うが、失敗。搭乗していた綾波レイは重傷を負い、零号機は一時的に封印。(第伍話)
- 第伍話冒頭のテロップ「22日前」から。普通に考えればこれは第伍話の22日前であるが、そう解釈すると本来第伍話が第参話の直後であったという事情を考慮してもこの事件は第一次直上会戦後となり、赤木リツコの「あなた(=シンジ)がここへ来る前」という台詞と矛盾する。従って第壱話の22日前と解釈するのが妥当であろう。
2015年8月
- 2015年8月6日(木)?
- シンジ、父碇ゲンドウに呼ばれ第3新東京市に来る。第3使徒サキエル襲来。国連軍は使徒に対しN2地雷を使用するも有効打とならず。使徒撃退の指揮権が国連軍から特務機関ネルフに移行。第一次直上会戦にて暴走した初号機により、サキエル殲滅。(第壱話、弐話)
- 第参話日向マコトの台詞「今度はたったの三週間」から。厳密に21日前とは言えないが仮にそうしておく。
- 2015年8月7日(金)?
- シンジ、初号機から回収される。上司である作戦部長葛城ミサトと同居を開始。人類補完委員会召集・会議。(第弐話)
- 回収は決戦翌日
- 2015年8月13日(木)?
- シンジ、第3新東京市立第壱中学校に転入。
- 第参話ミサトの台詞「転校して二週間」から。厳密に14日前とは言えないが仮にそうしておく。
- 2015年8月27日(木)
- シンジ、学校にて、鈴原トウジに殴られる。第4使徒シャムシエル襲来(第二次直上会戦)シンジはミサトの撤退命令を無視するが、辛うじてシャムシエルを殲滅。(第参話)
- 第参話ミサトの台詞「今日、木曜だっけ?」から。
- この辺、本編からははっきりしない。この日は第一次直上会戦から三週間(日向の台詞)でありシンジが転校して二週間(ミサトの台詞)であるのだが、一方でトウジの欠席期間は二週間であり、会話からは第三使徒襲来より二週間が経過し、その間ずっとトウジが欠席したように見える。解釈としては
- 二週間か三週間どちらかが間違っている。
- 二週間と三週間どちらともとれる中間的な日数が経過している。
- 第三使徒襲来後一週間は休校で、学校が再開されてから二週間が経過した。
が考えられる。巨大災害の直後には被災地の学校は暫時休校になることが通常なことから見て3.が妥当かと思われる。
- 2015年8月28日(金)
- シンジ、学校を欠席、部屋にこもる。トウジと相田ケンスケがコッテリ叱られる。(第参話)
- 第参話トウジとケンスケの会話「今日でもう三日か」「コッテリと叱られてから?」「アイツが学校、来なくなってから」「あの後別れ際にでも謝っておきゃ、三日も悶々としなくてすんだのに」から
- 2015年8月30日(日)
- トウジがシンジに電話を掛けようとするも、途中でやめる。(第参話)
- 日曜なのに学校?、との疑問は当然だが、トウジとケンスケの会話からこうせざるを得ない。
2015年9月
- 2015年9月1日(火)
- シンジ家出。映画館泊。(第四話)
- 第四話ミサトの台詞「今日でもう五日目よ、いつまで学校休む気」から。
- 2015年9月2日(水)
- シンジ、大涌谷を訪れる。ケンスケのテント泊。(第四話)
- 2015年9月3日(木)
- シンジ、ネルフ保安諜報部により身柄拘束。(第四話)
- 2015年9月4日(土)
- シンジ、サードチルドレンを解任される。しかし同日復帰。(第四話)
- 第四話リツコの台詞「サードチルドレンは明日第3新東京を離れます」より。
- 2015年9月9日(水)
- 体育の授業。夕食はリツコと共にミサトカレー。(第伍話)
- ミサトの夕食当番は水曜日と土曜日。翌日は使徒襲来により中学校は休校、ということは日曜日ではない。従ってこの日は水曜。
- 2015年9月10日(木)
- 零号機再起動実験、成功。第5使徒ラミエル襲来。(第伍話、第六話)
- 2015年9月11日(金)
- ヤシマ作戦実行される。ラミエルを殲滅。(第六話)
- 2015年9月15日(火・祝)
- 進路相談。(ミサトの朝食当番は火曜日)(第七話)
- ハッピーマンデー施行前の95年に作られたエヴァでは、この日は敬老の日と見るのが妥当。9/15が祝日なのに学校であるのを避けるのであれば、第七話まで全体を前にずらせばよい。これは第七話まではずらせるが第八話はずらせないため。ちなみに現行の祝日法では2015年の9月21日は敬老の日となる。
- 2015年9月16日(水)
- ミサトとリツコがJA記念式典に招待される。式典中JAが暴走、初号機が制圧。(第七話)
- 9月15日のリツコの台詞「アレ、予定通り明日やるそうよ」より。
- 2015年9月20日(日)
- シンジ・ミサトらが、航空母艦オーバーザレインボーにて、アスカ・加持リョウジと対面。第6使徒ガギエル襲来(旧伊東沖遭遇戦)。弐号機により殲滅。(第八話)
- ミサトの台詞「たまの日曜だからデートに誘ったんじゃないのよ」より。
- 2015年9月21日(月)
- アスカが第3新東京市立第壱中学校に転入。(第八話)
- 黒板の日付から。これ以前の月日についてもこの21日との整合性と各イベントの曜日から。
2015年10月
- 2015年10月4日(日)?
- 第7使徒イスラフェル襲来。初号機及び弐号機による水際防衛に失敗。国連軍のN2爆雷攻撃により足止め。(第九話)
- 2015年10月5日(月)?
- アスカがミサト宅に入居。ユニゾン訓練開始。(第九話)
- 第九話ミサトの台詞「第二波は六日後」より
- 2015年10月8日(木)?
- トウジ、ケンスケ、洞木ヒカリがミサト宅を訪ねる。訓練本格化。(第九話)
- 第九話ケンスケの台詞「学校休んで、もう三日か」より
- 2015年10月11日(日)?
- イスラフェルとの第二回戦。初号機と弐号機のユニゾン攻撃により殲滅。(第九話)
- 第九話分の日付は同話に使われたカレンダーによるが、このカレンダーで「決戦当日」として示される11日の金曜日は2015年には9月と12月しかない。しかしこのいずれをとっても他の回との整合性が取れない。したがって10月にせざるを得ない。もしこの日を2015年10月の第二金曜日の方に合わせるなら日付は10月9日となる。他の日付も二日ずつ前にずれる。しかしこの場合週末を挟むためシンジとアスカは三日間学校を休めない。したがって、本稿では曜日を無視して日付を合わせてある。しかし、無理筋であることは理解されたい。ちなみに本編では何月かが見えないが、フィルムブックではこのカレンダーが1995年8月のものであることがわかる。
- 2015年10月16日(金)
- 第壱中学二年生、沖縄へ修学旅行に出発。チルドレンはネルフ本部で待機。(第拾話)
- 第八話で教室の後方黒板にある「修学旅行まであと25日」の書き込みから。なお、テレビ放映時は「保管(ママ)計画まであと25日」となっており、フィルムブックで確認できる。また『エヴァンゲリオン用語事典』の第一版にも記事がある(第二版で削除)。これはビデオ化以降に改められた。
- 2015年10月17日(土)?
- 第8使徒サンダルフォン、卵の状態で浅間山火口内で発見。D型装備を纏った弐号機により捕獲作戦を実行するも突如孵化、これを殲滅。(第拾話)
- 演出では17日かどうか不明だが、16日とするとやや窮屈な印象があるため、仮にこうする。
2015年11月
- 2015年11月13日(金)
- ネルフ本部に対しその電源を全て使用不能にする妨害工作。同日第9使徒マトリエル来襲。ヤシマ作戦での損傷を修復して、塗装を改めウェポンラックを搭載して制式機登録された零号機が戦列復帰。エヴァ3体の連携にて使徒殲滅。(第拾壱話)
- 拾壱話冒頭で冬月が読む日経の日付から。テレビ画面では曜日だけが見えるが、フィルムブックで確認できる。
2015年12月
- 2015年12月20日(日)?
- 碇ユイ命日。シンジはゲンドウと墓参り。アスカはデートに連れ出されるが途中で抜け出す。ミサト・リツコ・加持は大学時代の友人の結婚披露宴に出席。夜、シンジとアスカのキス。(第拾伍話)
- 第拾伍話Bパート冒頭にかかるカレンダーはこの時系列からは2015年12月のものと考えるべきか。この次は2016年の3月になるが、これでは時期的にやや遅く、それ以降だと今度はシンジ達が三年に進級してしまうため、第拾七話で2-Aにいることと矛盾する。
- しかし、このカレンダーは小の月のものであるため、厳密に言うと12月のものではない。これを合わせるとこの回は2015年9月にならざるを得ない。第拾六話だけに注目するならばそれで良いが、時系列として考える以上、無理筋ではあるが12月におく。
- 次に日付の特定。この日はアスカとヒカリの会話から日曜なので6、13,20,27のどれか。前日に学校があるので、一般的には冬休みになっている27日はまず脱落。残り三つから絞り込む証拠はないが、結婚披露宴が行われていることから六曜を判断材料にするとそれぞれ仏滅、先勝、友引。この中では友引に行われることが多いようである。それと第拾壱話が11月13日であり、この間に3話分のエピソードを挟むことから、間隔を空けた方がよいと判断し、仮に20日とする。
2015年
冬月、ゼーレにより誘拐。ミサト、諜報部により拘束。加持、粛清される(第弐拾壱話、テロップより)
- 本稿の時系列を取る限り、このエピソードは2016年に起こったとするのが相当である。本作品が時系列を厳密に考えて作られてはいないことの好例である。
2016年
- 第弐拾弐話。この時系列に従う限り、この回でミサト宅にかかっているカレンダーは2016年5月のもの。
- 人類補完計画発動中。人々の補完が続いている。(最終話)
- 劇場版『シト新生 DEATH&REBIRTH』冒頭では様々な出来事が時間経過の表記とともに流れる。これによると第九話の前日の9ヶ月後である2016年6月19日がシンジの初号機からのサルベージ成功日であり、加持とミサトのラブホテルでの逢瀬の日である。しかし同表記では惣流・キョウコ・ツェッペリンの没年が2008年になるなど、資料的価値に疑わしいところも多い。もっともキョウコの墓石自体どこまで考えられて描かれたものかも不明である。
脚本等別資料での時系列の差分と考察
2015年5月
- 2015年5月31日(日)
- 零号機起動実験失敗、レイ負傷。
2015年6月
- 2015年6月22日(月)
- シンジ、第3新東京市に到着。第3使徒サキエル襲来(第一次直上会戦)。シンジ、初号機に搭乗。暴走により使徒殲滅。
- 2015年6月23日(火)
- シンジ、ミサト宅に入居。
- 2015年6月29日(月)
- シンジ、第3新東京市立第壱中学校2年A組に転入。
2015年7月
- 2015年7月13日(月)
- 第4使徒シャムシエル襲来(第二次直上会戦)。初号機により殲滅。
- 2015年7月14日(火)
- この日よりシンジ、学校を休む。
- 2015年7月16日(木)
- 豪雨の日。シンジ、コンフォート17マンションより家出する。映画館で一夜を明かす。トウジ、シンジに電話をかけようとするもかなわず、プリント届けの名目でケンスケとコンフォート17を訪問、ミサトと初めて会う。
- 2015年7月17日(金)
- シンジ、第3新東京市郊外を彷徨う。ケンスケとキャンプで一夜を明かす。
- 2015年7月18日(土)
- シンジ、保安諜報部により身柄を確保。
- 2015年7月19日(日)
- シンジ、サードチルドレン登録を抹消。第3新東京市を離れる予定なるも翻意。
解説
以上の日付は第四話脚本決定稿に見られるもの及びそこからの逆算である。同脚本は全26話中唯一庵野秀明の手が入っていないものであり、脚本と本編の齟齬が大きいという本編では珍しい存在となっている。「暦の上では夏だが肌寒い」との記述もあり、常夏の設定も含まれていない。従ってこの日付にどこまでの資料的価値を認めるかには議論の余地があろうが、確定的に日付が記されている数少ない例であり、FF執筆時の資料としては貴重であろう。
なお、同脚本では7月27日に登校するシンジが書かれている。本編では夏休みは短いようだ。登校日ということも考えられるが「今日も」というミサトの記述からはそうではないと思われる。夏期講習ということにすれば最も適合的か。脚本日付の利点は、上の時系列では八月中であるシンジの転校を一般的な一学期の期間中に入れることができる点にある。ただし、代償として第4使徒シャムシエル襲来と第5使徒ラミエル襲来の間隔が一ヶ月以上空くことにはなる。しかし、四話と伍話の間でレイの包帯が減っていることを考えれば、この方が適当であろう。
脚本と本編では、シンジが家出までに学校をサボった期間は三日と五日で差がある(それぞれ三日目、五日目が家出第一日)。三日後というのは第参話の最後でケンスケが「今日で来なくなって三日」という台詞があり、トウジが電話をかけようとしてできなかったその日に当たる。大雨が降っているのも共通であり、この日の放課後に二人がプリントをまとめてミサト宅を訪ねたと考えて本編を排し三日後を採るのは流れとして合理的である。第四話の脚本は第参話のベース脚本を書いた薩川昭夫であり、明らかに意識して時系列を連続させていると思われる。
脚本説の致命的な弱点は、本編中で第二次直上会戦が木曜と明言されていることである。これはもはや回避不能である。薩川昭夫は第参話の時点では単に木曜とだけ書き、日付は書いていない。一方、第四話冒頭では7月13日とだけ書き曜日は指定されていない。これだけなら、第参話で木曜と書いたのはたまたまで、第四話では既にそのことを忘れていたとも思える。しかし、脚本の終わりで7月27日が木曜と記されることにより、遡って7月13日も木曜となる。つまり薩川は2015年7月のカレンダーをそのように設定しているのであり、エヴァ世界と現実世界では同じ2015年7月13日でも曜日が異なるのである(ちなみに1995年7月13日が木曜であり、薩川は95年のカレンダーを頼りに日付と曜日を書いたとわかる)。
逆に考えれば、この曜日の誤差は大きな問題ではないともいえる。つまり、曜日に積極的な意味はないのであり、もし薩川が2015年のカレンダーを見ながら脚本を書いたのであれば当然曜日はずれたと想像される。第参話のミサトの台詞「ゴミ、お願いね」をミサトのゴミ当番の代わりを頼んだものと解すれば、ミサトのゴミ当番日が月曜であることと整合する。また、第二次直上会戦を月曜とすると、トウジとケンスケの学校の会話は木曜となって、上記時系列のように日曜に登校させる無理をせずにすむ、など利点が多い。
参考