編集委員・豊秀一
2015年6月21日15時58分
行政改革や司法改革など近年の「この国のかたち」作りに関わってきた憲法学者、佐藤幸治・京大名誉教授が政治のあり方を憂慮している。「遺言のつもりで書いた」と4月末に出版した新著で、権力の乱用を防ぎ人間の尊厳を守ろうとする立憲主義は、人類が長い歴史をかけて確立してきた英知だと強調する。その思いを聞いた。
1945年8月15日、佐藤さんは8歳。父の隣で正座して玉音放送を聞き、終戦を知った。
天皇主権下で欧米的立憲主義を採り入れた明治憲法。大正デモクラシーの短い時期を経て、戦争の時代へと突き進み、国内外に未曽有の犠牲をもたらした。
「大正デモクラシーがなぜこんなに簡単に崩壊し、軍国主義・全体主義になってしまったのか」
敗戦直後の混乱。世界情勢を十分につかめず、日本政府関係者は明治憲法のごく部分的な手直しですむと考えた。結果、連合国軍総司令部(GHQ)から国民主権などを盛り込んだ草案を手渡されることに。そのことが後に「押しつけ憲法」という批判を生む。
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