04/24 08:50
言論に対する異常なまでの抑圧と言わざるを得ない。
社民党の福島瑞穂副党首が参院予算委員会で政府の安全保障関連法案を「戦争法案」と発言したことに対し、自民党が修正を求めた。福島氏は拒否している。
安全保障関連法案は自衛隊の海外での武力行使に道を開くものだ。他国の戦争に巻き込まれる可能性も否定できない。国会論戦の中でこれを戦争法案と呼んでも表現の自由の範囲内である。
自民党の修正要求は異論を封殺しようとする乱暴な国会運営だ。巨大与党のおごりが見える。
少数意見の尊重は民主主義の基本である。国民の代表による国会の議論は特に自由が確保されるべきだ。自民党はそのことに細心の注意を払わなければならない。修正要求は直ちに撤回すべきだ。
福島氏は集団的自衛権の行使容認などを挙げ「安倍政権は戦争法案を出そうとしている」と主張した。安倍晋三首相は「レッテルを貼って議論を矮小(わいしょう)化することは断じて甘受できない」と反論した。
福島氏の主張を議論の矮小化と決めつけること自体、レッテル貼りである。その自己矛盾に首相は気づいているのか。反論があるなら筋道を立てて説明すればいい。
さらに異常なのは自民党議員の反応である。参院予算委の自民党理事が「戦争に関連する法案」と修正するよう福島氏に求めた。
「戦争法案」は許せず、「戦争に関連する法案」なら許せるという言い分は全く理解できない。
問題となったのは福島氏と首相のやりとりである。自民党の動きの背景に首相の意向は働いていないのか。それとも自民党議員が首相の意向を忖度(そんたく)したのか。首相または党幹部の説明を求めたい。
国会での発言の修正は珍しいことではない。参院規則によると委員長は、秩序を乱したり議院の品位を傷つける発言を取り消すことができることになっている。
しかし、これまで対象となったのは事実関係の誤認や国会の権威に関わることなどがほとんどだった。政治的見解が自分たちと違うからと言って発言を取り消すのでは議論が成り立たなくなる。
自民党は先週、NHKとテレビ朝日の幹部に事情聴取したばかりだ。放送法を盾に、真実を曲げた可能性を問う趣旨だったが、政権与党が番組内容を問い詰めれば、同法が定める不偏不党を脅かす。
批判を力で抑え込んで政治を意のままに動かそうとする。そんな体質から早く脱却すべきである。
コメント
コメント一覧
政府の圧力に負けないで!!!!!