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【日韓外相会談】
韓国、切るしかなかった「訪日カード」 訪米土壇場キャンセル…「非礼」補う手段なく
【ソウル=藤本欣也】韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権が尹炳世(ユン・ビョンセ)外相の訪日を決断した背景には、「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産への登録をめぐる問題を打開するには「訪日カード」を切るほかないという切迫した事情があった。それだけに今回の会談を外交成果としてアピールしている。
聯合ニュースによると、尹外相は会談後、「円満に妥結しようという共通認識をもって緊密に協議することにした」と記者団に語った。同ニュースは、世界文化遺産登録に際して強制徴用の歴史を反映させることで事実上合意したと報道。尹外相によると、3回目となる日韓の当局間協議が近く行われ、詳細が明らかにされるという。
韓国メディアは最近、日中首脳会談や安倍晋三首相の訪米成功などを受け、傍観するだけの韓国外交を厳しく批判。韓国の孤立を避けるためにも日韓首脳会談の早期実施を求めている。ある世論調査では「安倍首相による(戦後70年)談話が不十分な内容でも韓日首脳会談を開催すべきか」に56・3%が「すべきだ」と回答。尹外相訪日は世論対策という側面もあった。