「しゃびしゃび」という言葉がある。
私が知っている用例は
「カレーがしゃびしゃびだ。」
以外にない。
これが名古屋弁ということに自分が気づいたのは、数週間くらい前だ。
というか、この言葉を思い出したのがもう十年ぶりくらいじゃないだろうか。
たしかに今は名古屋に住んではいないけれど、五年くらい前までは名古屋に住んでた。
それでも「うわー、なつかしいな」という響き。
でも、名古屋弁だと知らなかった。全国的に使われている言葉だと思っていた。
思えばそもそも、この言葉が使われる頻度が非常に少ない。
先日名古屋の友人にも聞いてみたが、みなが
「カレー以外に使わない」
というのである。
気になってネットで調べてみたところ
「カルピスがしゃびしゃび」「コーヒーがしゃびしゃび」という用例もあるらしい。
しかし、私にはそれは「しゃびしゃび」という言葉が正しく使われているとは思えない。
「しゃびしゃび」はカレーのような粘度のものに使うものなのだ。
「しゃびしゃび」はカレー以外ありえない。
そして、「しゃびしゃび」が使われる頻度が少ないのは、
「しゃびしゃび」のカレーが登場することがそもそも少ないのである。
家庭では、分量をよっぽど失敗しない限り
「しゃびしゃび」のカレーになることはない。
店で「しゃびしゃび」のカレーが出てくることもない。
出てきたとすれば、それはそういうカレーか、そうでなければそんな店はそのうち潰れる。
しかし唯一、そんな「しゃびしゃび」のカレーができてしまうのが
小学校や中学校の林間学校で実施される、飯ごう炊さんのときなのである。
みんな覚えてますか。
もう二度と「しゃびしゃび」のカレーは食べれないと思うと
少し寂しい。