小倉和夫氏「日本は謝罪を求める韓国を理解すべき」

国際交流基金顧問・小倉和夫氏インタビュー
「両国が同等になるには、現在・過去どちらも見詰めなければならない」
「韓日関係が悪化したという見方には同意せず。貿易・観光は増えている」
「日本で膨らんでいる反韓感情、韓流への反発のみとは見なし難い」

 大韓民国の建国以来、数多くの大使がソウルに赴任してきたが、パンソリ(独特の歌唱法で物語を歌う韓国の伝統芸能)を習って「スクテモリ」(パンソリの作品『春香歌』内の一場面)を歌っていった大使というのは多くない。小倉和夫(77)国際交流基金顧問は「韓国人を理解しようと思ったら韓国人の論理と感情を知るべきで、韓国人の感情を知ろうと思ったら『恨(ハン)』が何なのかを知らなければならないことから、パンソリを習った」と語った。小倉氏は外務省北米第二課長、北東アジア課長、外務審議官を経て1997年に駐韓大使の発令を受けた。その後、駐仏大使を経て、国際交流基金の理事長を務めた。韓国関連の実務から手を引いて16年たったが、今でも韓国語を学び、韓国の小説を読む。「今読んでいるのは、韓江(ハン・ガン)が書いた『菜食主義者』。一国の国民の深い感情を知ろうと思ったら、テレビを見るよりも詩や小説を読むべきだ」

 ここまで聞いて、さらに「なぜそれほど韓国を知ろうと努力するのか」と尋ねた。私たちは、東京都心の千代田区にある小倉氏のオフィスに座っていた。「韓国文化が好き」という話を聞きたいわけではなかった。小倉氏は、外交官であるとともに戦略家だ。韓日はお互い、実際に重要な存在なのか、どれほど重要な存在なのかが気になった。答えは明快だった。「韓日は、アジア国家の中で例外的に、経済的な発展と民主主義をそろって実現した国だ。中国経済が成長しているが、まだ社会主義体制で、社会的にも開発途上国の要素がある。韓国と日本が互いに力を合わせてアジアの声を強く出す必要がある」

 小倉氏は、東京大学法学部を卒業し、英国ケンブリッジ大学に留学した。外務省で最高のエリートの一人に挙げられる。勤務時間を割いてパンソリを習い、残りの時間をさらに割いて、世界史をまとめた分厚い本を何冊も書いた。その内の1冊『パリの周恩来』で、92年に吉田茂賞を受賞した。政治・外交分野で優れた学術的業績を挙げた人物に贈られる賞だ。

東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員 , 東京=ヤン・ジヘ特派員
前のページ 1 | 2 | 3 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース