中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染拡大で落ち着かない中、映画を見てきた。地震をテーマにした映画『カリフォルニア・ダウン』(原題:SAN ANDREAS)だ。派手なシーンをこれでもかこれでもかと見せつけることで、さほど内容のないストーリーをカバーする典型的な、まさに見るだけで時間の無駄ともいえるような映画だが、ある映画評論家がこの映画と関連してネットでたたかれていることを知った。この映画についてのネットでの評価は18日の時点で3300件以上書き込まれているが、そのうち多くの賛同を得ている書き込みの上位5件には、必ずこの評論家の名前が出てくる。それらは例えば「先生の見方の反対通り見れば大満足」「いつもありがとうございます。ここまで私と趣向が正反対だとは」といったものだ。つまりこの評論家の見方は信頼に値しないと批判されているわけだ。
ちなみにこの評論家は「辛口魔王」と呼ばれている。映画を冷静に批評するのがその理由だそうだが、『カリフォルニア・ダウン』に対して彼は5段階評価の2点をつけた。その理由、あるいは感想は一言で「笑いをこらえられない」というものだった。
つい先日韓国語の翻訳が完成し、あらためて出版されたセルバンテスの『ドン・キホーテ』には、次のような場面が出てくる。たくさんの見物人が見守る中、ある有名なぶどうの品種から作られたワインを、二人のワイン専門家が口にした。一人は「なかなかいい。革の味が少しするが、それさえなければ最高だ」と言った。もう一人は「確かにいい。ただ少し鉄の味が混ざっているのが難点と言えば難点だ」と評した。
見物人たちはあざ笑った。彼らは専門家の異なった批評をあざけり、各自が思い思いにワインを楽しんだ。ところがワインのたるの底が見えた時、彼らの笑いはピタッと止まった。革のひもが付いた鉄の鍵が底に落ちていたからだ。