【記者手帳】ソウル入りしたWHO幹部、なぜ尹外相と会談?

【記者手帳】ソウル入りしたWHO幹部、なぜ尹外相と会談?

 韓国を訪問している世界保健機関(WHO)のチャン事務局長は18日、保健福祉部(省に相当、以下同じ)の文亨杓(ムン・ヒョンピョ)長官の代わりに外交部の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官と会談した。中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染が広がる中、これを管理する保健福祉部のトップと会うのが普通だが、それがかなわなかったのは文長官がソウルではなく中部の世宗市にいたためだ。チャン事務局長は「文長官は忙しく、ソウルから2時間かかるほかの都市にいると聞いた。文長官とはあすテレビ会議で協議する予定だ」と伝えた。

 8-13日に韓国でMERSの現地調査に当たった福田敬二事務局長補らWHOの合同調査団は、世宗市に宿泊施設が足りず不便を強いられた。保健福祉部と疾病管理本部の所在地である世宗市や忠清北道・五松の付近で宿を取ろうとしたが、適当なホテルがなかったため世宗市の公務員宿舎を利用せざるを得なかった。

 今回のMERS事態は、2012年9月の国務総理室移転を皮切りに省庁の多くが世宗市に移って以降、初めて経験する国家的な感染病の流行だが、政府の初動対応が遅れ事態が大きくなったのは、省庁が世宗市にあることによる非効率性も一因だったとする指摘も出ている。MERSの発生と感染拡大はソウルなどの首都圏が中心だったが、指揮本部は世宗市にあり現場感が薄かった上、関係者がソウルと世宗を往復するのに時間を浪費したことも事態の拡大につながったという見方だ。

 MERSが広がる中でも、保健福祉部の長官・次官は言うに及ばず、ヤン・ビョングク疾病管理本部長、金宇柱(キム・ウジュ)官民合同対応チーム長(大韓感染学会理事長)らも専門家会議への出席のため、国会報告のため、記者会見のため、何度も世宗とソウルを往復する羽目になった。韓国高速鉄道(KTX)などの公共交通機関を使ったとすると、1日に4-5時間を移動に費やしたことになる。

 チャン事務局長が保健福祉部の長官ではなくソウル所在の外交部の長官と会談したのは、こうした非効率性をあらためて示すコメディに近いケースではないかと思う。

キム・ミンチョル社会政策部記者
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