韓国の金融委員会は18日、銀行の設立規制を緩和し、インターネット専業銀行(ネット銀行)を年内にも試験的に1-2行認可することを明らかにした。既存の銀行は産業資本(一般企業)が4%以上出資できないが、ネット銀行は一般企業が最大で50%を出資できるようにする。財閥企業の参入は認めず、IT企業、中小・中堅企業に門戸を開放する方針だ。
ネット銀行はIT技術を活用することで支店運営コストを削減し、顧客に高い預金金利と低い貸出金利を提供できる。新たな金融サービスを提供するという面で実験を行う意義はある。しかし、ネイバー、ダウムカカオなどIT系大企業がネット銀行に参入することによる副作用は最小化しなければならない。これまで金融業に進出した大企業を振り返ると、金融業者をまるで私的な金庫のように使い、グループ全体が崩壊した例が東洋グループをはじめ数多くある。さらにサムスン、LGグループもクレジットカード事業に参入し、2000年代半ばに大量の信用不良者を生む「カード大乱」を招いた。
外国ではITと金融を結び付けたフィンテク(フィナンシャルとテクノロジーの合成語)企業が続々とサービスを開始している。変革に拍手を送る声もあるが、金融分野では門外漢であるIT企業が経営を主導すれば、金融危機を乗り切れないのではないかという懸念も根強い。ネット銀行が金融危機の震源とならないためには、当局が最初からネット銀行に参入する企業が株主としての役割を適正に果たせるかどうか徹底した審査を行う必要がある。拙速な認可の結果、金融危機でネット銀行が破綻すれば、その被害を国民が被ることになりかねない。