「一番上の姉」キム・ジョンミが守りでチームを率いているとすれば、韓国代表のキャリアで言えば「一番年下」に当たるカン・ユミは攻撃の中核だ。金色に染めたショートカットの髪を揺らし、3試合2アシストとチーム内最多攻撃ポイントを記録した。この日も0-1で負けていた後半8分、鋭く右サイドに切り込み、チョ・ソヒョン(26)=現代製鉄=の上に正確にクロスを上げ、同点ゴールに貢献した。14日のグループリーグ第2戦、コスタリカ戦でも速い足を生かした右サイドからの正確なクロスがチョン・ガウル(26)=現代製鉄=のゴールにつながった。韓国が獲得した勝ち点4点はすべて、実質的にカン・ユミの足から生まれたことになる。
カン・ユミは東京生まれの在日韓国人3世だ。サッカーを始めたきっかけは幼稚園のころ、地元のサッカーチームに参加していたタクシー運転手の父親についてボールを蹴っていたことだ。9歳の時、在日韓国人の子どもたちがメンバーの「ムグンファ・ジュニアサッカースクール」に入った。そして、17歳の時には韓国女子サッカー界の名門・ソウル東山情報産業高校に入学するため一人で韓国行きを決意、日本名「大村裕美」でなく韓国名「カン・ユミ」を使うようになった。それまで韓国語と言えば「アンニョンハセヨ(こんにちは)」「コマプスムニダ(ありがとう)」しか知らなかったが、「韓国人だから韓国代表になりたい」という夢を抱き、つらい練習や慣れない土地での生活に耐えた。
ユン・ドクヨ代表監督は4月、ロシアとの強化試合を前にカン・ユミを「大抜てき」するとして、「泥の中の真珠のような選手。見ていてほしい」と自信を持って語った。監督の言葉通り、カン・ユミは堂々と、そして賢くプレーしてチームをW杯ベスト16に導いた。この日までAマッチに6試合出場したカン・ユミは「チームに貢献できてうれしい」と笑顔を見せた。