18日付の新聞各紙に、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が前日(17日)忠清北道清州市の国立保健研究院を訪れ、サムスン・ソウル病院のソン・ジェフン院長を叱責(しっせき)する様子が写真付きで報じられた。ソン氏は朴大統領の前に立ち、教師の説教を聞く小学生のように目を閉じたままうなだれていた。朴大統領はこの場でソン氏に「サムスン・ソウル病院で感染に至った全てのケースについて、一つ残らず徹底して公表しなければならない。患者や見舞客のリスト、移動経路などについても本人たちの話を聞き、それによって感染が拡大していないか解明するなど、感染拡大阻止に向け徹底して取り組んでほしい」と求めたようだ。朴大統領の求めに対してソン氏は「国民の皆さまに多大な心配を掛けて申し訳ない。今後も感染拡大阻止に向けて最善を尽くしたい」と答えた。
大統領府はこの日、朴大統領が関係者を激励するために訪れた保健研究院にあえてソン氏を呼び出した。ソン氏は民間病院の院長だが、大統領府から呼ばれれば、ソウル市江南区から忠清北道まで大急ぎで駆け付けるしかなかっただろう。大統領がサムスン・ソウル病院の院長を責め立てる様子を見て、これに拍手を送った国民も確かに少なくなかった。中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染がここまで拡大した背景には、サムスン・ソウル病院のずさんな対応が非常に大きく影響したのは事実だ。サムスングループの社長団も「頭を上げられないほど恥ずかしく、申し訳ない思い」とコメントしている。
しかし大統領がサムスン・ソウル病院の院長を叱責したことについて、国民はただ手放しで喜んでいるわけでない。MERSの最初の感染者が出た際、その感染力を過小評価し、一般の入院患者と分けて隔離もせず放置したのは国であり、具体的には保健福祉部(省に相当)だ。これはサムスン・ソウル病院が14人目の患者の取り扱いに失敗し、感染を一気に拡大させたこと以上に致命的なミスだった。ところが朴大統領はサムスン・ソウル病院の院長に「患者や見舞客の動きの確実な把握」と「徹底した対策」を、何か責め立てるかのように指示しただけで、国の責任については一切言及しなかった。