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方言調査「ようけ似とる」 尾張弁と比較、京丹後市が報告書

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 「うみゃー(うまい)」「好きだで(好きだから)」など似た言い回しがある尾張地方と、京都府北部の丹後地方の方言を調べた同府京丹後市教委が「発音や文法の多くが共通していると確認できた」との報告書を発表した。京丹後市の中山泰市長らが二十六日、県庁で記者会見し「言葉には文化的背景が詰まっている。兄弟のような関係として調査結果を共有したい」と両地方の交流を呼び掛けた。

 二〇一四年七月の舞鶴若狭自動車道延伸で、尾張、丹後両地方の時間距離が縮まったのを機に、共通の方言を足掛かりに交流の歴史をたどろうと一四年夏に調査を開始。同市出身で龍谷大名誉教授(日本語学)の糸井通浩さんら言語学、考古学などの専門家七人が執筆した。

 報告書では両地方の方言の共通点として(1)「あきゃー(あかい)」「えりゃー(えらい)」など母音が「a(ア)+i(イ)」と重なる部分が子音+半母音の拗音(ようおん)になること(2)「きょうは雨降りだで」「遊びに行ってくるで」など理由、念押しを表す接続助詞、終助詞「で」の使い方(3)「電車が来とる」など「〜とる」との表現を、京阪地方などでは区別される進行形(電車が来よる)と完了形(電車が来とる)を区別なく使うこと−などを挙げた。

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 両地方の関係について報告書では、特徴が似た一〜四世紀の土器や青銅器が双方で出土していることから、「地域勢力が密接に交流していた」と指摘。ただ、方言の共通点の大半は、音便が盛んになった九世紀の平安時代以降の日本語に由来し、両地方に限られているわけではない上、平安以降に両地方間で人々の集団的な移動があった記録もない。

 このため糸井さんは方言の共通性について「直接的な関係は推測しがたい」と記述するにとどめ、理由の解明を今後の研究課題とした。同市教委は、平安以降の結び付きを中心にさらに調査する。

 今回の報告書「丹後・東海地方のことばと文化」は五百円で販売している。(問)京丹後市教育委員会=0772(69)0640

 (赤川肇)

 

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