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2015.06.20(土)
■銀座、伊東屋のリニューアルに思う。愛好家が好んでいたのは日々の営みの上澄みであった
銀座の伊東屋がビルの建て替えのために長らく休業となっており、仮店舗での営業が続いていた。そしてこの6月16日にリニューアルオープンとなった。12階建ての新築ビルの伊東屋。伊東屋大好きな自分はそのオープンを愉しみして、行ってきたわけです。
新しい「銀座・伊東屋」大解剖! 実は野菜工場もある“高級ホームセンター”!? 日経トレンディネット
すっかりきれいになった店にわくわく入り、おお、1階はおしゃれになってるなー、ちゃんとエスカレーターがある!以前は上の階まで階段で上がったり、エレベーターをずっと待ったり大変だったからなあ、階段も広いぞ、なんて思いながら2階に上り、ここもおしゃれだなー、なんて思いつつ、3階、4階…とあがると、どんどん違和感が。
確かに、7階に入った竹尾見本帖とか、ずらり並ぶ紙のフロアは素敵だった。しかし、あの、文房具ならとにかく伊東屋!困ったときは伊東屋に行けば物がそろっている!みたいん、圧倒的な品揃えの店ではなくなっていたのです。まるで、おしゃれ雑貨屋みたいになってしまった。農園まであってコンセプトがいまいちよくわからない
カフェも出来たりしたし、以前の狭い店からはずいぶん広々して過ごしやすい店内にはなったのだけれど、あの、文房具に囲まれた多幸感に包まれるような場所ではなくなってしまった。Twitterの公式アプリで『伊東屋』で検索しようとすると『伊東屋 残念』とサジェストされるんですね。昔の伊東屋の何が好きだったかによって評価は人それぞれだろうけれど、かなりの部分の人にとって、残念以外の何物でもないリニューアルであることは確かだろうな…と思ったのです。
いろいろ記事を読んでいると、商品点数を5万点程度として、以前の半分以下に絞ったのは確かみたい
ニュース - 銀座・伊東屋新本店が6月16日オープン、新システムで品揃えをカバー:ITpro
それからいろいろつらつら考えていたんだけれど、ある人のつぶやきを見て、だんだん考えがまとまってきて
批判めいて聞こえるかもしれないけど、そういうつもりではなくて。ただ、「文房具屋」としての伊東屋に期待していた私は、ターゲットから外れてしまったんだなってことが、なんかとても寂しかったのです。向こうは私ひとりのために商売してるわけじゃないので、それ自体は仕方ないと思います。
昔はよかった…なんて言っても仕方ないし、彼らには彼らの商売があるし。結局、前の商売で続けられるだけの買い支えができてなかったのはたしかだろうし。複雑な気持ちではあるが、せっかく新しくしたんだから頑張って欲しいとは思ってる、てのが率直なところだ。
そう、伊東屋が好きだと言う人、あのごちゃごちゃたくさん並んだ空間が好きだと言う人が、伊東屋の経営を支えていたのかどうか。以前ならそれでよかったでしょう。なにか文房具の時に困ったら伊東屋に行けばよい…そういう時代があった。だから細かいラインナップを並べている伊東屋の価値があった。しかし、ネットが普及してニッチな品物がいくらでも買えるようになった時代、圧倒的なロングテール商品を並べる店舗にどれだけの勝算があるのか。
リアル店舗でそういうことを出来る時代では無くなったのかもしれない。いやさ、圧縮陳列のドン・キホーテや、広大な店舗面積と安売りをアピールできるコストコや地方の巨大ホームセンターならまだ勝算があるだろう。しかし、都心の定価販売の店でそれをやる余力は無い。ハンズも最近、どこもおしゃれ雑貨屋みたいになっており、ヒヨったのなんの、ハンズ愛好家は散々文句を言い続けてきたわけだけれど、結局みんなおしゃれ雑貨屋方面に収束していくのは、以前の店を愛した人がそれほど経営を支えられていなかった、ということなんだよね。
そしてその伊東屋からして本当はどういう人が支えていたか考えていると、周囲のオフィスでの日常使いのものを買っていた人が、フラッグシップ、コンセプトとしての伊東屋の顔をしてはともかく、数字としては圧倒的だったのでしょう。そういう人がアスクルなどを利用するようになって、もはや伊東屋には、以前の店舗のありようを、圧倒的な文具屋としての顔を維持できるだけの余裕は無くなったのかもしれない。
これは、伊東屋だけに限った話ではない。何かを愛好する立場の人間としては敷衍的にいえることで。例えば鉄道趣味なんかもそうなんだけど、結局、それの存立を支えていたのは大きな声でそれへの愛を叫んだりしない、暮らしの必要から日常使いしていた人達であった。大多数の、特に声をあげたりしない人たちであった。それが時勢の変化で利用されなくなり、無くなってしまう…。その時に愛好家が騒ぐような時点ではもうどうにもならない。本当に支えていたのはそれらの人ではなかったのだから。愛好家が好んでいたものは、生活の上澄みであった。大衆酒場趣味みたいなものも、結局は同じなのかもしれないね。
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