僕は100回以上観ているんです。うちのせがれが14歳の頃にこの作品を観ていたんですが、やっぱりジーンときていましたね。世代を越えて伝わるものがあるんだと思います。 男子だったら、女子のことを知りたい。女子だったら、男子のことを知りたい……そのような、”神様の悪戯によって体を入れ替えることによって性教育”だと僕は思っているんです。僕は『転校生』に人生を賭けてます!
時折笑いを入れながら熱弁する玉袋さん。ところどころで爆笑が巻き起こるトーク、さすが芸人!と言わんばかりのプレゼンです。親子で、ロケ地の尾道”住之江旅館”にも泊まり、女将さんに「僕は『転校生』が大好きで……」と言ったら、「何が?」と返されたというエピソードも。(笑)
映画監督というのものは数を沢山撮っていると、作品自体が成熟したりおとなしくなっていくことが多いですが、彼の最近の作品はどんどんアバンギャルドになってきてて。大林映画はエモーショナルな作品が多いんですが、この作品はあまりに濃密な感情が押し寄せてくるんで、窒息しそうになる。大林宣彦のダークサイドが強烈に出ている、アンモラルな作品なんですけど、それが美しく描かれていて。一番濃い一本です。
映画評論家としての鋭い視点で大林作品の核なる部分を説明し、一見美しいようにみえる作品を”ダークサイド”と形容するその表現に感服です。他の選考委員も黙って聞き入り、頷いてしまうほどでした。
映画化は4回されてますが、『時かけ』のオリジナルはというとやっぱりこれなんですよ。オープニングとエンディングが非常に好対照で、オープニングには人がほとんど出てこなくて、風景も幾何学的なショットばかりで。その逆に、エンディングはアイドル映画とはこれだ!っていうような映像。オープニングからエンディングまでの時間を対象に描いて、それがすばらしい。……ほら、観たくなってきたでしょ!
作品の勢いに圧倒されてしまい、ボーッと観るだけでは気づかなかった計算され尽くした演出やさらにエロティックな描写にも着眼したプレゼンでした。誰もが知ってる有名な作品ですが、もう一度見返したくなります。
さっきまで委員の方々のプレゼンを聞いてきて、僕、全く異論ないです!(笑) でも、この作品にこそ大林作品の原点が詰まってるんですよ。大林テイストはこういうものなんだと、初心者の人がどこから手をつけていいのか分からないのであれば、これを観てほしい。あと、この後に放送されることを考えました。観たことがない人は多いんじゃないでしょうか。新作の『この空の花』にも『HOUSE』の要素が含まれてて、原型が30年以上前にあったんだという再発見にもなる。
番組が始まってからの第一声が「大林監督のベストを決めるなんてタブーだと思いますよ!」というくらい、愛にあふれたマシンガントーク。強い主張をしながらも、他の選考委員の意見に納得したり、便乗したり……さすがの痛快なプレゼンでした。
1:
さびしんぼう

2:
時をかける少女

3:
転校生

4:
異人たちとの夏

4:
青春デンデケデケデケ

6:
ふたり

7:
HOUSE

7:
狙われた学園

7:
廃市

10:
漂流教室

10:
あした

10:
なごり雪

10:
この空の花-長岡花火物語

キサラギさん/47歳・女性
MY BEST作品「異人たちとの夏」 
選びきれない…。時かけ、転校生、尾道シリーズは珠玉だけど。「異人たちとの夏」は片岡鶴太郎さん演じるお父さんとお母さんが浅草のすき焼き屋で消えていくのに号泣。 その頃はわからなかったけど、30代で父母とも亡くしたので、予感のような映画で忘れがたい。きっと今見ても号泣すると思う。
 
HiROさん/42歳・男性
MY BEST作品「さびしんぼう」
 富田靖子さんが好きで見に行った作品ですが、大林ワールドにどっぷりとのめり込むきっかけになりました。自分はまだ学生のときで、好き放題やってた頃でした。 大人になって見直した時に、もっとあのころを大切にしておけばよかったと後悔する思いもありますが、あのころの心を純粋に戻させてくれる作品でもあります。
まさやんさん/56歳・男性
MY BEST作品「廃市」
  「ハウス」でデビュー以来、トリッキーな映画監督とみられていた大林さんが、その抒情性をいかんなく発揮し、映画監督としての幅を見せつけた記念すべき作品。ATG映画として配給されたが、作品の質が高かった為、その後松竹の小屋でムーブオーバーした。僕は松竹の映画館で見た記憶がある。その後も幾度も繰り返し見ているが、前半のアップテンポのコメディセンスからラストの別れのシーンまで、まったく飽きさせるところがない。ラストの小林聡美の可憐な姿はいつも涙で見ることになる。
 
マモーさん/41歳・女性
MY BEST作品「HOUSE」
 唐突にミュージカルになったりホラーになったり、ロッキホラーショー的な面白さがあると思います。今見ると豪華なキャストの初々しい時が観られるし、池上季実子の美しさに見惚れてしまいます。ゴダイゴの音楽もいいし、丸わかりのセットなんかも面白いです。

どの選考委員のプレゼンも、その映画を観たくなる言葉ばかりが飛び交いました。大林宣彦監督作品の本質をあぶり出すように、一つ一つの作品を力説していく姿……結局どの映画も好きじゃないすか!とつっこみたくなるくらい、どなたも大林映画への愛に満ち溢れていました。 商業映画デビュー作からアバンギャルドな手法を貫き通し、観る人の心に残るシーンを次々と見せてくれる大林作品。このプレゼンを聞くと、ますます彼の映画を楽しめることでしょう。映画は、語りだすと止まらないし、聞いているだけでも十分楽しめてしまう。そんなことを改めて知らされる第一回目のトークとなりました。 あと、収録中に藤江れいなさんが『はるか、ノスタルジィ』を『はるか、ノルスタジィ』、『HOUSE』を『HOME』と言い間違える一幕にも唸りました……うーん、惜しい!
竹内道宏(たけうちんぐ)
ライター、イラストレーター活動の傍ら、神聖かまってちゃんや川本真琴などのライブ撮影や、ライブハウスで霊能者パフォーマンスというものを行なっている。
今年3月に『新しい戦争を始めよう』という物騒なタイトルの映画を初めて監督・脚本・出演し、全国11館で上映。数多くのライブ映像を撮影し、YOUTUBEにアップロードを続けているちょっとしたアップローダーである。

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