親が出産して育児休業に入った場合にそれまで保育園に通っていた子どもを3カ月後までに退園させる。そんな埼玉県所沢市の新たな方針は違法だとして、10人あまりの保護者が近く、市に退園させないよう求める仮差し止めをさいたま地裁に申し立てる。育休中も従来通り、在園できるよう求める。25日に記者会見して発表する。

 同市は今年3月、母親の出産に伴い、保護者が育休を取った場合、保育園に在園する0~2歳児は双子、病気の児童などを除き、下の子が生まれた翌々月末までに退園させる方針を通知。4月から始めるとしていた。

 市はこれまで園長の裁量を認めて、育休を理由とした退園は求めてこなかった。だが、国の子ども・子育て支援の新制度で4月から、入園調整を市が一括して管理することになったのに伴い、「育休中は家庭での保育が可能。園での保育の必要性が認められない」として厳格運用に転じた。

 これに対して、保護者らが反発。育休を予定する保護者たちが申立人となり、市に在園児を退園させないよう仮差し止めを求めることにした。申立書では、育休は単なる休暇ではなく復帰の準備期間で、就労の一形態▽保護者に育休の取得を萎縮させる――などと主張。市の方針は「育休中であっても保育園の在園を認められるとした子ども・子育て支援法の施行規則などに反し、違法だ」と訴えている。

 市は親が復職する際に申請すれば、再入園の選考時に加点して同じ保育園に通えるよう配慮する制度を設けた。藤本正人市長はこれまでの取材に対して、「子どもは2歳までは『お母さんと一緒にいたい』と言うはずだ。この制度変更はとてもいいものだと思う」と話している。(戸谷明裕)

■「2人目を阻もうとしているとしか…」

 所沢市で方針変更が初めて保護者らに伝えられたのは昨年9月。今年3月に具体的な変更内容を知らされると、有志らが「育休退園」の撤回を求める要望書を市に出した。「安心して子育てできる街にしたい!!会」を5月に結成し、同月下旬に開いた抗議集会には約300人が集まった。