添谷芳秀氏「反感と誤解、韓日間に浅く広く拡大」

添谷芳秀・慶応大教授インタビュー
-「信じたいことだけ信じる韓日」
北朝鮮問題は韓日とも今が最悪、協力せずバラバラに対応
日本から北への経済的補償…統一費用として提供する案も
-韓日の誤解、浅いが広く拡大
「安保関連法案成立でも韓国の懸念する問題は起きない」

 韓国と日本の国交正常化50周年を前に、添谷芳秀・慶応大教授(60)は「安倍政権の望む通りに安全保障法制関連法案が成立したとしても、韓国が懸念しているようなことは起きない」と述べた。日本が再び軍国主義を目指したり韓国に攻め込んだりすることはないというわけだ。「安全保障法制(の整備)は実際には韓国にとってプラスであり、マイナス面はない」とも述べた。添谷教授は日本屈指の国際政治学者だ。安倍晋三首相の国家主義的性向を何度も批判してきた。かとって韓国の主張に賛同しているわけではなく、現実的な中道派といえる。

-韓国人にとっては疑わしく聞こえますが。

 「今の日本で進んでいる安全保障政策の変化は、実際にはそれほど『大したこと(big deal)』ではない。韓米のどちらか一方が攻撃を受ければ、もう一方も共同で対処する。韓米は既にそうしている。だが日本は異なる。現在国会で審議されている案がそのまま通過したとしても、日本が対処するのは日本の安全に直接の影響が及んだときだけに限られる。日本の安全と関係のない事案の場合は何もできない。韓国では『日本の軍事的役割が無制限に大きくなる』といわれているが、そのような解釈は現実とは大きなギャップがある」

 韓国には『日本のやることはどうも危険だ』という潜在意識がある。だが安全保障の論理で言えば韓国にとっては利益だ。韓半島(朝鮮半島)での有事の際には米軍が重要な役割を担い、日本はその米国を支持する。日本の役割が大きくなれば韓国にとってはプラスになる」

-日本特有のジレンマを指摘し続けてきましたが。

 「第2次世界大戦の終戦直後、米国は日本を『二度と戦争のできない国』にしようとした。そして作られたのが平和憲法9条だ。だがほどなく冷戦が始まり6・25(朝鮮戦争)が起きた。米国は日本と米日安全保障条約を結び、日本に米日同盟の一方の軸を担わせた。その後日本では国論の分裂が続いた。右派は米日安全保障条約を重視しながらも(米国主導で作られた平和憲法については)改憲すべきと主張してきた。一方、日本の左派は憲法を守ると主張しながらも、米国と接近し過ぎるのは危険だとして対立した。日本が何らかの動きを示すと、韓米は正反対の反応を見せた。『米国は頑張っているのに、日本は憲法を言い訳にし、あまりにも貢献度が低い』というのが米国の本心だ。一方の韓国は『日本がまた軍事大国化する』と主張する。板挟み状態の日本は、米国に対しては『精いっぱい努力する』と伝え、韓国に対しては『心配する必要はない』と訴えてきた」

東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員
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