酵素ジュースってなんか良さそうと思っている方へ
2回に渡って女性ホルモンに関する誤解についてメッタ斬りにしたところ、大反響でした。
健康でいたい、きれいになりたいって思う気持ちは誰にでもあると思うのですが、それを利用してキャッチーな流行を産み出そうとするメディアや、商売にしている業者もいるので、やっぱり賢い情報収集者、消費者になりたいものです。(まあ、専門分野である健康関連はまだしも、政治経済なんかは私もいろいろと騙されっぱなしなんだと思うので偉そうなことは言えないですけど~)
なので、今回は患者さんからの質問も多い酵素ジュースについてお話したいと思います。
スローライフを良しとする層を中心にいろんな「瓶漬け食品」を手作りすることの流行が定期的に起こっているイメージがあったので、酵素ジュースもその一環かと思っていました。でも、いろんな患者さんから「妊娠中に酵素ジュースを飲んでもいいですか?」「酵素ジュースで痩せても排卵に影響はありませんか」などと聞かれるので、「酵素ジュース?痩せる?なんじゃらほい」と思って調べてみました。
どうも野菜や果物を砂糖の類いと漬け込んで発酵させるものみたいですね。食材に含まれている酵素で発酵させる手法、買ってきた酵素を混ぜる手法、手の常在菌で発酵させる手法(汚い……)などいろいろで、「生酵素」だの「これぞ本物の酵素ジュース」だのが売られているようですね。
うーん、確かに納豆や味噌などの発酵食品は抗酸化作用があり健康にいいというのは事実です。しかし、酵素ジュースの効能によくある「酵素を体に取り込んで元気はつらつ」とか「痩せやすい体質に」というのは眉唾です。
酵素はタンパク質でできているので、胃から分泌されるペプシンというタンパク質を分解する酵素でバラバラに分解されてしまいます。アミノ酸レベルまで分解されてから小腸より吸収されるので、体に取り込まれた後にどこに使われるか分かりません。少なくとも酵素のまま体内に入って、お肌に届きピチピチになるとか、体中に届いて代謝が上がって痩せやすくなる、なんてことは有り得ません。
髪の毛を食べても髪の毛は生えませんね?
それと同じことです。
まあ、手の常在菌で発酵したジュースを飲んでお腹を壊して一時的に痩せるということはあるかもしれませんが。「酵素パワー」って洗剤じゃないんだから、と思います。発酵食品の健康への効果は認めますが、酵素ジュースがあたかも魔法のドリンクのように扱われているのを見ると、騙されないで!と思います。
口から入ったものが消化・吸収される時は、ものすごーく細かく分解されてから吸収されるということのイメージがわいていない人が多いようで、美肌・健康から母乳育児までさまざまな誤解が流布しているようです。そんなこと言われてもアミノ酸って何か分からない!という人は、高校生物の教科書か医学生・看護学生の教科書を読んでみることをおすすめします。それがトンデモ健康説やトンデモ商法にひっかからない賢い生き方の近道だと思います。
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