最終セットはキープ合戦が続き、ゲームカウントは9-9という均衡状態。
この状況はに、タクマさんは改めてエーちゃんのしぶとさを痛感。
実績がない中でのプロ志望なら、ここで結果を出すしかない。
とはいえ実際にそうできるのは普通ではないと。
が、実際にエーちゃんのしぶとさは昔から異常だったと。
一方のエーちゃんも本来のラクマさんはもっと気まぐれ。
試合が長引けば好不調の波がもっと出てきてもおかしくないが、自身が好調を維持できていても崩せない。
そこにトッププロの壁を感じる。
しかし、タクマさんもエーちゃんの凄さを実感。
あのノートを積み上げ、絶対に無理だと思ったことをやってのけ、常識を覆された。
この土壇場、一番の脅威はそこだと。
そこを見誤らないよう、注意して対峙すると。
(でも、もう・・・・いい加減お願いします。勝たせてください!)
祈るような気持ちで出た賭け。
サーブをワイドへと読んでのリターン。
これがドンピシャ。
ラインギリギリのサーブにも対応し、オープンコートへ叩き込む。
が、ここで審判の判定はフォルト。
これはどちらにも意表を突かれた判定。
エーちゃんは自身の目の良さから、入っていたことは間違いないと。
一方のタクマさんの入っていたという手応えはあった。
いいサーブだったのが読まれて、エースにされた。
審判のミスジャッジに助けられた形。
もしも、今のミスジャッジがなければリターンエースだったのに。
エーちゃんがそう考えたのは一瞬。
即座に頭を切り替えて、セカンドサーブはチャンスだと、気合を切れる。
エーちゃんのその様子に気づいたタクマさん。
疲労も緊張もピークの最重要ポイント。ここでミスジャッジを受けても、それを糧にするように前を向く。
何があろうと純粋に目標だけを見据え続ける。
これがエーちゃんの強みだと。
しかもサーブキープの無間地獄が続く現状、このしぶとさが有利に働く。
それをなんとかしなければならないタクマさんは頭を悩ませることになり、すぐにセカンドサーブにとはいけない。
15秒経過のコールを受け、ようやく考えても始まらないと踏ん切りをつけたタクマさん。
今の劣勢なセカンドサーブを立て直すつもりで打つ。
が、これがフォルトとなり、ダブルフォルト。
結果、0-15となる。
エーちゃん、今のはただのラッキーではなく、ここまでセカンドサーブを攻め続けた結果だと。
その上で、これを活かし、ブレイクすると更に気合を入れる。
一方のタクマさん、劣勢を跳ね返そうとしたために、力が入ってしまった。
先が思いやれるものの、スコアは劣勢ではないとネガティブな思考を止める。
第2セットのように剛速球でバカバカと決められる状態ではないが、今のサーブのリズムを保てば決定力に欠けてもキープはできる。
そこで焦らずどこかでブレイクすればいい。
ドロ沼のサバイバルになる前に、自分のタイミングで仕掛けて試合を終わらせればいい。
そう考えるタクマさんだが、ファーストサーブは惜しくもアウト。
決して悪くなかったが、もうダブルフォルトはできない。
一方再びチャンスを迎えたエーちゃん。
ゲームカウント5-4以降、勝ちに行こうとするタクマさんのストロークに明らかな傾向が。
それはフォアを打つ機会が増している。
タクマさんはバックも決定力があり得意だが、ここぞという時はフォアを信頼しているのだと判断したエーちゃん。
その情報を活かす。
セカンドサーブはセンターへ170km。
エーちゃんはタクマさんが前に出てきてないことを確認し、フォアに回り込めるか微妙な所に1/81のコントロールで強打。
タクマさんは強引に回り込んでのフォア。
するとエーちゃんはこれをバックでクロス。
タクマさんは構えをとることができずエースで決まり、0-30。
ミスジャッジ以降自滅気味のタクマさん。
打たされてミスって、弱気を攻められている。
そうすることで、エーちゃんのしぶとさが怖かったとのだということに気づいたタクマさん。
我慢比べじゃ勝てない。
しかし、ファーストサーブのリスクは上げられないし、セカンドサーブのリスクも下げられない。
前にも出にくいうえ、後ろにいれば嫌な所を突かれる。
タクマさん、ラケットで球を地面に突き、考える。
そして最後に強く弾き、跳ねた球をキャッチ。
そうやって頭を切り替える。
(こんな面倒な奴に付き合うほど・・・・、俺はバカでもお人よしでもねえ・・・・)
エーちゃんのどうしようもない集中力を、敢えて切る必要はないと。
エーちゃんが長期戦有利なら、短期決戦で、この2ゲームに全てを懸け、爆発力で勝負を挑んたタクマさん。
するとファーストサーブの速度は230km。
フォルトだったものの、凄まじいスピード。
そしてセカンドサーブもフォルトで、これで0-40。
いよいよキレたのかという流れ。
これでエーちゃんのトリプルブレイクポイント。
しかし、池はギリギリだけどキレてないと。
エーちゃん有利は揺るがないが、ここは気を付けないとまずいと。
タクマさん自身、最悪の状況ながらこれは想定内だと。
ここから取り返せばいい。
そういう精神状態。
ブレイクチャンスが3本あるエーちゃんだが、ここは最初決めるつもり。
タクマさんのファーストサーブにタイミングを合わせ、ラケットに当てた瞬間、ラケットが弾き飛ばされる。
その時のサーブスピードは233km。
15-40。
いよいよ剛速球が再び入ってきた。
もし、これが入り始めると逆転もあり得る。
今のサーブはこの速さにも関わらずフォームに安定感もあった。
そう感じたエーちゃんは、ここでブレイクしなければダメだと確信。
決着へ加速する――というところで<#345 傾き>につづく。
最終セットもゲームカウント9-9。
ここにきて集中力を増すエーちゃんは半端ないなぁ。
しかも、ミスジャッジの後で。
これはタクマさんが崩れるのも分かる気がしますよ。
エーちゃんのしぶとさはホントに怖いと思いますよ、相対すると。
特にタクマさんはエーちゃんの事をよく知っている分余計にそう思うんでしょうね。
何というか、ミスジャッジで助かったタクマさんが調子を崩して、損をしたエーちゃんの集中力が増すというのも皮肉な話ですよね。
崩れた分、復活しそうなタクマさんですが。
エーちゃん、、ここでブレイクできなければ、絶対勝てないですよね。
次回、いよいよ試合が動くのでしょうか?
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