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[オピニオン]嫌悪発言規制立法
JUNE 18, 2015 07:24  
「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」。メディアと表現の自由を強調する時にしばしば引用される言葉で、啓蒙主義哲学者のヴォルテールが言ったとされる。しかし、ヴォルテールはそう言ったことはなく、1770年2月にル・リッシュに送った手紙で、「あなたの文を嫌悪するが、あなたが執筆を続けることができるためなら、命をかける」と書いた。表現の自由を幅広く保障する西欧でも、嫌悪発言規制をめぐって論議が多い。

◆米国の憲法修正第1条の自由主義の精神は、「嫌悪する他の意見を法の名で抑圧することはやめよう」というのが要だ。あざ笑って戯画化できる権利は、表現の自由を成す重要な要素だ。しかし、米国や英国など欧米社会では、人種や宗教に対する嫌悪発言を処罰する法を設けている。欧米でも、法が嫌悪発言を規制することを躊躇してはならないという意見と嫌悪発言をする自由もなくてはならず、法ではなく世論の審判で制裁すればいいという主張が対抗する。

◆野党の新政治民主連合が、「従北」「スッコル」「ホンオ」「クァメギ」など、理念と地域の差別嫌悪発言を制裁する立法を推進している。国会で開かれた「嫌悪発言制裁に向けた立法討論会」では、「表現の自由」侵害論議で賛成と反対が拮抗した。新政治民主連合の姜h正(カン・ギジョン)政策委議長は、「進歩と保守いずれもの暴言を追放するためのものだ」と言ったが、「地域感情や従北追求を利用して選挙を行ってはならない」という言葉で、来年4月の総選挙を意識していることが読み取れる。

◆欧州では、ユダヤ人を悪魔化して大量虐殺の惨劇を経験した。そのため「非寛容を許してはならない」という精神で嫌悪発言を規制する。野党が人種や社会的弱者に対する嫌悪発言を規制するために普遍的な差別禁止法の制定を推進するなら分からないわけでもないが、「嫌悪発言禁止法」を作ろうとするのは時代錯誤的だ。度が過ぎた嫌悪発言は、侮辱罪や名誉毀損罪で処罰可能だ。相次ぐ暴言問題で疲弊する野党に果たしてこのような法を推進する資格があるのだろうか。

崔英勲(チェ・ヨンフン)論説委員 tao4@donga.com

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