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今回も朝っぱらから衝動的に記事を書いてしまいました。
ルイス・ブニュエル監督の『皆殺しの天使』(1962/白黒)が今夏にBlu-ray化されます!
10年以上前に観たきりなのですが、私のお気に入りの白黒映画のひとつです。
あらすじを説明するのがチョット難しいんですが、「豪邸に集まって晩餐会を開いている
ブルジョアの人たちが、なぜか突然、部屋から出られなくなってしまう」というお話。
これだけ聞くと「サスペンス?ホラー?それともパニックもの?」と思われるでしょうが、
屋敷に何か異変が生じたわけではないんです。閉じ込められたわけでもありません。
「部屋から出たがっているんだけど、なぜか誰も出ようとしない(結果的に出られない)」
(ドアも窓も開いていて、隣の部屋との間には壁すらないのに、なぜか出ない!)という
とってもフシギな設定で、時間が進むごとに「水がない」「食料がない」「早く外に出たい」「でも出られない」と登場人物たちが精神的に追い詰められていく作品なんですね。
子供の時にこれを観た私は、設定のあまりの可笑しさに「さっさと部屋から出ろよwww
何やってんだこの人たちwwwアホかwww」と画面の前でツッコミが追いつかない状態。
でも、作品全体に「毒」と言うか「狂気」と言うか、なんだかとてつもないエネルギーが
満ち溢れていて、脳裏に凄く焼き付いた映画なんです。当時はルイス・ブニュエルなんて
名前も知らず、「こんなフシギな映画があるのかぁ」と感嘆させられるばかりでした。
ルイス・ブニュエル監督(1900 - 1983)の映画で一番有名なのは、デビュー作の実験映画
『アンダルシアの犬』(1929)でしょうか。冒頭の「女性の眼球をカミソリで切り裂く」
(もちろん、本当に人間の眼球を切っているわけではありません)というショッキングな
シーンが特に有名な作品ですね。私の動画でもリクエストを頂いたことがあります。
彼の映画は、宗教だとか、寓意だとか、シュルレアリスムとか、ムズカシイ単語を並べないと
紹介できない作風が特徴です。年代によって変化も見られ、その本質を的確に捉えるには
かなり骨の折れる監督だと思います。しかし、強烈でありながら娯楽性に富んだ作品も多く、
20世紀の名だたる映画監督の中でもオンリーワンの個性を放った作家と言えるでしょう。
(※彼の監督作品は全部で32本。私は15本くらいしか観ていません・・・)
また、ブニュエルについては、アニメ監督の水島努さんが好きな映画監督、と紹介したほうが
若い方の関心を集められるかもしれませんね。アニメ『SHIROBAKO』に登場する制作進行の平岡が「カンヌ映画祭で賞を獲ることが夢」と語るシーンがありましたが、これはカンヌで
最高賞を受賞したブニュエルに対する水島監督の憧れが投影されたものらしいです。
個人的にブニュエルは映画好きしか知らない監督という印象で、オマケに『皆殺しの天使』に関してはソフトが市場に出回っておらず、新品のDVDはAmazonで2万円もしていました。
観たくても観る機会が得られない映画ファンも多かったはずなので、今回のBlu-ray発売で
容易に鑑賞できるようになるのはとても喜ばしいことだと思います。
最後に余談ですが、ウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)という
映画をご存知でしょうか?主人公の脚本家が1920年代のパリに迷い込んでしまうお話です。
この映画の中で、主人公(左)が当時まだ若手のブニュエル(右)に出会い、「パーティーの参加者がなぜか部屋から出られなくなる」という脚本のアイデアを提供するシーンがあります
(元ネタはもちろん、数十年後にブニュエルが製作することになる『皆殺しの天使』!)。
そこでブニュエルが「・・・どうして部屋から出られないんだ?意味がわからないぞ?」と
聞き返すんですよね。このシーン、初めて観たときは思わず笑ってしまいました。
「なぜ部屋から出られないのか?」 それは監督以外は誰もわからないことなのに(苦笑)
意味はわからないけどゾクゾクする、ちょっとフシギな映画体験をしてみたい方、難解な
内容に対していろんな考察・解釈を試みて楽しみたいという方には、この『皆殺しの天使』はピッタリな作品だと思います。設定やあらすじにちょっとでも興味を惹かれた方は是非!!
(なんだか販促ブログみたいになってしまって申し訳ありません・・・)
ルイス・ブニュエル監督の『皆殺しの天使』(1962/白黒)が今夏にBlu-ray化されます!
10年以上前に観たきりなのですが、私のお気に入りの白黒映画のひとつです。
あらすじを説明するのがチョット難しいんですが、「豪邸に集まって晩餐会を開いている
ブルジョアの人たちが、なぜか突然、部屋から出られなくなってしまう」というお話。
これだけ聞くと「サスペンス?ホラー?それともパニックもの?」と思われるでしょうが、
屋敷に何か異変が生じたわけではないんです。閉じ込められたわけでもありません。
「部屋から出たがっているんだけど、なぜか誰も出ようとしない(結果的に出られない)」
(ドアも窓も開いていて、隣の部屋との間には壁すらないのに、なぜか出ない!)という
とってもフシギな設定で、時間が進むごとに「水がない」「食料がない」「早く外に出たい」「でも出られない」と登場人物たちが精神的に追い詰められていく作品なんですね。
子供の時にこれを観た私は、設定のあまりの可笑しさに「さっさと部屋から出ろよwww
何やってんだこの人たちwwwアホかwww」と画面の前でツッコミが追いつかない状態。
でも、作品全体に「毒」と言うか「狂気」と言うか、なんだかとてつもないエネルギーが
満ち溢れていて、脳裏に凄く焼き付いた映画なんです。当時はルイス・ブニュエルなんて
名前も知らず、「こんなフシギな映画があるのかぁ」と感嘆させられるばかりでした。
ルイス・ブニュエル監督(1900 - 1983)の映画で一番有名なのは、デビュー作の実験映画
『アンダルシアの犬』(1929)でしょうか。冒頭の「女性の眼球をカミソリで切り裂く」
(もちろん、本当に人間の眼球を切っているわけではありません)というショッキングな
シーンが特に有名な作品ですね。私の動画でもリクエストを頂いたことがあります。
彼の映画は、宗教だとか、寓意だとか、シュルレアリスムとか、ムズカシイ単語を並べないと
紹介できない作風が特徴です。年代によって変化も見られ、その本質を的確に捉えるには
かなり骨の折れる監督だと思います。しかし、強烈でありながら娯楽性に富んだ作品も多く、
20世紀の名だたる映画監督の中でもオンリーワンの個性を放った作家と言えるでしょう。
(※彼の監督作品は全部で32本。私は15本くらいしか観ていません・・・)
また、ブニュエルについては、アニメ監督の水島努さんが好きな映画監督、と紹介したほうが
若い方の関心を集められるかもしれませんね。アニメ『SHIROBAKO』に登場する制作進行の平岡が「カンヌ映画祭で賞を獲ることが夢」と語るシーンがありましたが、これはカンヌで
最高賞を受賞したブニュエルに対する水島監督の憧れが投影されたものらしいです。
個人的にブニュエルは映画好きしか知らない監督という印象で、オマケに『皆殺しの天使』に関してはソフトが市場に出回っておらず、新品のDVDはAmazonで2万円もしていました。
観たくても観る機会が得られない映画ファンも多かったはずなので、今回のBlu-ray発売で
容易に鑑賞できるようになるのはとても喜ばしいことだと思います。
最後に余談ですが、ウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)という
映画をご存知でしょうか?主人公の脚本家が1920年代のパリに迷い込んでしまうお話です。
この映画の中で、主人公(左)が当時まだ若手のブニュエル(右)に出会い、「パーティーの参加者がなぜか部屋から出られなくなる」という脚本のアイデアを提供するシーンがあります
(元ネタはもちろん、数十年後にブニュエルが製作することになる『皆殺しの天使』!)。
そこでブニュエルが「・・・どうして部屋から出られないんだ?意味がわからないぞ?」と
聞き返すんですよね。このシーン、初めて観たときは思わず笑ってしまいました。
「なぜ部屋から出られないのか?」 それは監督以外は誰もわからないことなのに(苦笑)
意味はわからないけどゾクゾクする、ちょっとフシギな映画体験をしてみたい方、難解な
内容に対していろんな考察・解釈を試みて楽しみたいという方には、この『皆殺しの天使』はピッタリな作品だと思います。設定やあらすじにちょっとでも興味を惹かれた方は是非!!
(なんだか販促ブログみたいになってしまって申し訳ありません・・・)
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