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【東京】

沖縄戦惨劇 50人の証言 浅草公会堂でパネル展

沖縄戦体験者の証言をまとめたパネルなどが展示されている=台東区で

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 太平洋戦争末期の沖縄戦経験者の証言を伝える展示会「五十余名の体験で知る沖縄戦展」が十八日、台東区立浅草公会堂の展示ホールで始まった。旧日本軍の組織的な戦闘終了から二十三日で七十年。「戦場の生の体験を通じて沖縄戦を知り、戦争について考える機会にしたい」と、戦場体験放映保存の会(北区)が主催した。二十一日まで。 (松尾博史)

 同会は二〇〇四年、元兵士や若者らが戦争体験を後世に伝えるために結成した。旧日本兵や民間人の体験談を聞き取ってビデオに収めたり、手記を寄稿してもらったりする活動を続けている。集めた証言は約二千五百人分に上り、全国各地での展示会やインターネット上で公開してきた。

 今回は、これまで集めた証言のうち、沖縄戦に関する約五十人分の体験談を展示パネルにまとめた。戦争体験を描いた紙芝居や戦時中の写真も並べている。

 日本兵を看護する「ひめゆり学徒隊」に動員された女性は、洞窟の中で死を覚悟し、他の生徒らと「お別れ会」を開いた体験を語った。校歌や軍歌を歌おうとしても涙があふれ、声にならなかった。「敵軍の捕虜になるな」と強く教えられていたため投降できず、投げ込まれた爆弾で気を失い、死体の下敷きになっているところを助け出されたという。

 手りゅう弾による集団自決を間近で目撃した人や、「日本兵にスパイの疑いをかけられた」「日本兵に壕(ごう)から追い出された」との証言も。一方で日本兵に米軍の捕虜になるよう促され、生き延びた人もいた。十代半ばで「鉄血勤皇隊」として動員された男性は「沖縄の戦争体験者が今でもあまり話さないのは、思い出すのがつらいからだ」と同世代の心情を代弁し、「戦争は二度とやってはいけない」と強く願った。

 沖縄での聞き取り調査に参加した同会事務局次長の田所智子さん(48)は「激しい地上戦が行われた沖縄の人々にとって、沖縄戦は『昔の出来事』ではなく、折に触れて記憶によみがえることだと思う。体験者の証言は来場者が沖縄戦について想像する手掛かりになるのではないか」と話す。

 入場無料。開催は午前十〜午後五時。二十、二十一日の午後二〜三時には、公会堂内の別室で沖縄戦体験者による「ミニ証言会」が開かれる(申し込み不要)。問い合わせは、同会事務局=電090(6512)2494=へ。

 

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