韓国MERS:渡航、貿易制限「不要」…WHOが声明

毎日新聞 2015年06月17日 21時27分

 【西帰浦(ソギポ)(韓国・済州島)米村耕一】世界保健機関(WHO)は17日、韓国での中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染拡大について、各国の対策が必要となる「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」には該当せず、渡航や貿易の制限は必要ないとの声明を出した。一方で、「(各国への)警鐘であり、全ての国は予想外の感染拡大の可能性に備えておくべきだ」と強調、韓国で初期対応に遅れが出たことを念頭に国際社会に警告を発した。

 WHOは16日、緊急委員会を開き、今後の対応を協議。17日に記者会見したケイジ・フクダ事務局長補は、韓国での感染拡大について、ウイルスの大きな変異は見られず、中東での感染状況との目立った違いはないと説明した。WHOは昨夏、西アフリカでのエボラ出血熱の流行について「緊急事態」を宣言している。

 韓国保健当局は、サムスンソウル病院など感染拡大の「震源地」となっている病院での新たな感染を封じ込め、「月内に状況を沈静化させる」との目標を掲げて対策を進めている。聯合ニュースによると朴槿恵(パク・クネ)大統領は17日、「サムスンソウル病院で(感染拡大が)確実に遮断できれば終息の契機となる」と病院関係者にさらなる努力を促した。

 保健福祉省によると17日現在で、死者は1人増えて20人、感染者も8人増えて162人となった。また、自宅などでの隔離措置の対象者は約900人増え、6500人以上となっている。

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