2015-06-18 13:19:27

16歳少女ツイッターで売春募集で逮捕。「少女たちは軽い気持ちで売春に足を踏み入れている」のか?

テーマ:伝えたいこと。
ショッキングなニュースが入りました。
みなさんにも一緒に考えてもらいたいです。

【事件】16歳少女、売春相手募った疑いで逮捕 ツイッターで(朝日新聞デジタル)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150618-00000027-asahi-soci

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ツイッターを通して売春をしていた16歳の少女が売春を自ら率先して行っていたとし、
売春防止法違反で逮捕されました。未成年をこの容疑で逮捕するのは異例。

警察関係者によれば「売春を気軽にやっている少女に対して警鐘をならそう」ということのようですが、
私はこれによって、児童買春の問題が、少女の自己責任として問題が処理されてしまうのではないかと大変な危機感を持っています。
 
少女に警鐘すれば問題が解決するわけではありません。
(このニュースを受け、私はソッコウ繋がりのある女の子たちに警鐘をならしましたが…)

少女の背景に介入するとともに、買う側、少女に声をかける大人側こそ規制し、警鐘をならすべきです。
今回の事件では数人の買春者も逮捕されるようですが、日々の活動から、
警察は少女の補導・逮捕には力を入れるが、買春者の摘発には積極的でないと私は感じています。
少女の取り締まりより、買春者の摘発のほうが証拠がつかみにくく、難しく、時間がかかります。
買春常習者はそれをわかった上で、やっています。

■「少女は軽い気持ちで売春している」という考え方が、問題を見えなくさせる
 
先日、ある記者の方に
「何故少女が軽い気持ちで売春をしてしまうのか。どうしたらそれを止められるのか」と質問されました。
 
そう思っている方、少し想像してみてください。
「軽い気持ち」で中高生が売春していると、本当に思いますか?
 
私は売春経験のある少女と100人以上関わっていますが、
売春で少女たちがしているセックスは、恋人間で行われるようなものとはほど遠く、
痛い・臭い・汚いなど、支配的で暴力的なものがほとんどです。

性器に異物を入れられたり、体に傷をつけられたり、首をしめられて脅されたり、裸で公園を歩かせたり、縛ったり…。 
これは性暴力であり、性暴力を受ける中で、少女たちは心身ともに傷つき、トラウマとなり、
乖離したり、精神的に不安定な状態が続いていて、専門的なケアが必要な場合がほとんどです。
(日本にはちゃんとしたトラウマケアができる専門医がほとんどいないのですが…)

「売春したくてしているわけじゃない、しなくていいならしたくない。
 でも(様々な事情から)やめられない。そうするしかないじゃん」というのが私が出会っている少女たちの本音です。
 
■「軽い気持ちで買春」するのはなぜか、に注目すべき
 
今回逮捕された少女もまだ16歳とのことで、14・15歳の時から売春をしていたのではないかと想像します。
私は、13、14歳から売春してきた少女と関わることも少なくありませんが、
その年齢の子どもたちが自ら「ツイッターで売春を募集しよう!」と「気軽に」思いつくわけがありません。
ネットで調べて大人が作った売春のやり方を教えるサイトを見つけたり、
その前に出会った買春者の大人から売春方法を教えられていることがほとんどです。
 
売春への入り口を「軽い気持ち」にさせているのは大人のほうです。

そして、多くの人はなぜ、
「買う側にとってもSNSを通して人目に付かずに少女に直接アクセスでき、簡単に買春できる」状態を問題視しないのでしょうか。

「軽い気持ちで買春するのはなぜか」に注目し、そうした大人こそを取り締まり、「簡単に買春しないように警鐘をならす」ことが必要です。
 
■背景に目を向け介入する大人はどこにいるのか
 
今回逮捕された少女について「これまでに補導歴はなかったのか」「これまで児童相談所の介入はなかったのか」
「周りの大人は少女の状態に気づかなかったのか。気づいていたのであれば、何故何もできなかったのか」ということも気になります。
 
逮捕にまで至っているということは、これまでにも補導歴があるのではないかと推測しますが、
なぜその時にケアに繋げなかったのかと悔やみます。

警察が児童相談所に連絡をするなどし、少女の生活状況の改善や家庭環境への介入をすべきと思いますし、
信頼できる大人との関係性を持てていたら違っていたかもしれません。

この記事では、少女の背景には触れられていませんが、
「家出をくりかえしていて任意の聴取が難しいことから逮捕に踏み切った」とあります。

なぜ家出をくりかえさなければならなかったのか。
家出には理由があります。家にいたくないから、いられないから、家が安心安全に過ごしたり眠ったりできる場所じゃないから等…。
<家出=非行=子どもの問題>と捉え、ただ家に帰すことを、いい加減辞めてもらいたいです。
それでは子どもたちの置かれた状況は何も変わらないからです。

家出や売春する少女のほとんどは、背景に何らかの問題を抱えています。
そして、早い段階から、様々な形でSOSを大人に出してきています。
それを学校や地域、警察、児童相談所、その他の支援機関が見逃したり、見放したり、
時には少女をさらに傷つける対応をしてしまっていることもあります。
 
■児童福祉は何をしていたのか
 
今回のケースでは、児童相談所がこれまで少女に関わっていたのかということも気になります。

私は特に、児童相談所に対するトラウマを持ち、強い拒絶感を感じている少女と日々出会っています。
児童相談所の体制が十分でなく、手一杯であることもあり、子
どもと信頼関係を築いてケアをするという視点ではなく、管理的に子どもを強制指導するようなやり方をしている児相が多いこと、
職員の虐待や性暴力を受けた子どもやトラウマへの理解がなく、専門性に乏しいことなどが問題だと感じています。
 
そうした経験から大人を信頼できず、あるいは、誰かに相談しても児童相談所への相談を勧められ拒絶してきたなどし、
頼り先をなくし、「自分でなんとかしなきゃ」と思っている少女が多くいます。
 
親や学校、地域の人からも「自分の問題なんだから自分でなんとかしなさい」「もっと頑張りなさい」
「わがままを言わずに我慢しなさい」「家族のことで他人に迷惑をかけてはならない」などと言われ続け、
「助けて」と言えずにたった一人でがんばってきたという少女が多くいます。
 
■支援者よりも、買春者のほうがわかってくれる、自分を見つけてくれる
 
そうした少女が自ら公的な支援(=窓口で待っている)につながることは難しく、
売春などを通して出会った買春者(=向こうからアプローチしてくる)のほうが支援者よりも繋がりやすく、
早い段階から彼女たちの理解者だと思わせるような存在になっていることも多くあります。
 
自分を問い詰めるように話をすすめる教員、福祉関係者、支援者よりも、
買春者のほうが、自分の辛さに共感し話を聞いてくれると感じていて、唯一の理解者が買春者たちだと感じている少女にも出会っています。
 
買春者について「ご飯をおごってくれたり、服も買ってくれたり、泊めてくれるしシャワーも浴びられる」と語る少女も少なくありません。
それを「甘え」や「洋服欲しさ」と捉えるのは想像力が欠けています。
 
ご飯を食べさせてくれたり、服を買ってくれたり、話を聞いてくれたり、お風呂に入ったり…
そんな生活を当たり前だと感じている人には、簡単に理解するのは難しいかもしれませんが、

小さいころから親はそんなことしてくれず、ずっとゴミ屋敷でジャージで生活をしてきた少女が、はじめて自分に優しくしてくれる男性に出会った時、
これまでのように万引きしてお腹を満たすこともしなくてよくなり、同年代の友達と同じようにおしゃれができたら、性暴力を受けることをわかっていても、それが唯一の生きる術だと思ってしまうことが想像できないでしょうか。

それは、本人の自己責任ではなく、そう思わせている社会に問題があると考えられないでしょうか。
  
■ケア付き補導の必要性 

私は、補導は家庭や地域、学校や児童福祉、時には医療からも見放されてきた少女を「発見」する役割の1つを担っていると思います。
しかし、現在は補導した少年少女の背景に介入することはなく、非行という行為そのものを注意指導しただ家庭に帰すことが基本となっています。そ
れでは、非行に至るまでの背景は改善されません。

私は、今回の少女のように逮捕に至る前に、
補導の段階で教育、地域、医療、福祉などのケアにつなぐ「ケア付きの補導」の必要性を訴え続けています。
 
■あなたが気づき、動ける人となれるかが問われている
 
「なぜ少女は軽い気持ちで売春するのか」と思っている方にも、背景に目を向ける必要性をご理解いただけたでしょうか。
 
まだ詳しいことが出ていませんが、今回逮捕された少女のケースも家庭環境が影響しているそうです。
母子家庭で、家出を繰り返し、高校もやめていて(=私・仁藤もそうでした)、中々家に帰らずにお風呂にも入らずに生活していた事もあるみたい。

報道関係者の方には、少女の背景に目を向けた報道をしていただきたいです。
そういうことが明らかになると、「なぜ、大人の目が届かなかったのか」という報道もよくされます。
 
私は、気付いていた大人はいたはずだと思います。
 
2月に起きた川崎市の中一男子殺害事件でもそうでした。
近隣の大人たちは、異様な状況に「気づいていた」とコメントしています。
気づいていたのであれば、何故何もできなかったのか。
 
文部科学省が国公私立の小学校と中学校、高校、中等教育学校、特別支援学校に在籍する児童生徒を対象に実施した緊急調査では、
「生命または身体に被害が生じる恐れがある」とされた児童生徒は全国で約400人とされています。
今回の少女は高校に在籍していないため、この数には含まれていないはずですが、全国で400人とは、あまりにも少なすぎると感じています。
 
この調査対象は①学校において7日間(授業日)以上連続して連絡が取れない、
または②学校外の集団との関わっている、いずれにせよ生命または身体に被害が生じる恐れがある生徒となっていますが、
学校には行っているが家庭で虐待を受けるなどし「生命または身体に被害が生じる恐れ」があったり、
学校外の集団と関わっているわけではないが、売春するなどし「生命または身体に被害が生じる恐れ」がある
小中高生、特別支援学校の生徒と出会っています。
 
そうした異変に気づいても、学校や警察、児童相談所に連絡をするだけでは、何も状況が変わらないことがほとんどです。
気づいた人が、少年少女の伴走者となり、地域を巻き込んで、学校と連携し、警察や児童相談所を動かしていくつもりで、
数時間×何日もかけて、精神力や体力をつかって臨まない限り、変わりません。

それがまた大きな問題なんだけど、それを知らないと「学校に連絡したから大丈夫」「児相に虐待通告をしたから安心」なんて思ってしまう。
私は、こうした実態を伝えるとともに、少女たちに伴走し、安心安全な環境のもと、自分の権利を侵害されない生活が送れるように、これからも一つ一つやっていきたいです。

間違った認識のもとメディアが問題を取り上げ、少女に責任を押し付ける報道をすることは問題だけど、
それを受け、同じように「なぜ気軽に売春するのか。貞操感がないのか。ブランドもの欲しさなんでしょう」「家出するなんて甘えている」と自分の生活をベースに想像力を働かせることなく決めつけてしまう一人一人の認識が、社会全体の風潮をつくり、問題を不可視化させ、深刻化させています。
 
今回、少女が逮捕されてしまったことはとても残念です。少女の気持ちを想像してみてもらいたいです。
そして、何がほんとうに必要なことなのか、共に考えていただきたいです。
 
あなたが気づき、動ける人となれるかが問われていると思います。

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