韓国を慌てさせるアメリカの転向
WiLL 6月17日(水)22時19分配信
一方、未来志向に徹した安倍の米議会演説は十四回も総立ちの拍手を浴びた。これを機に、アメリカの韓国批判は一段と高まりつつある。論評のなかには、
「慰安婦問題は朴槿惠の父親・朴正煕(元大統領)に責任がある。日韓条約で八億ドル(実は五億ドル)のカネを日本から得ながら、それを財閥育成に回し、個人補償をしてこなかったツケが、いまの慰安婦問題の本質だ」
と父親の尻は娘が拭けといわんばかりの論評もある。ようやく慰安婦問題の何たるかがわかってきた。
三月末、『週刊文春』(四月二日号)は「ベトナム戦争時、韓国軍がサイゴン近郊に慰安所を設けていた」とするTBSワシントン支局長・山口敬之の手記を掲載した。山口は一年がかりの取材で、米公文書からこの事実を発掘した。このスクープをTBSは放映しない。業を煮やして『週刊文春』に持ち込み、ために山口は営業部に左遷されている。
この記事について、さきごろ韓国の外報部は「反論のしようがない」とサジを投げている。韓国はベトナム戦争に最精鋭のタイガー部隊(延べ三十万人)を送り込み、そのタイガーぶり(暴虐)がいまだにベトナム人の恨みを買っている。彼らはベトナム女性を強姦しまくり、ために生まれた子供はライダイハンと呼ばれ、その数は三万人を超える。
TBSがそれを知らないはずはない。キャスターの筑紫哲也をはじめ、ベトナム特派員経験者は数人いる。彼らはそれを報道しない。そして今度は山口の特ダネを潰し、挙げ句は彼を左遷する。理解に苦しむ対応だ。
韓国が『週刊文春』の記事を否定できない事情をアメリカは知っている。ベトナムに派遣された米兵が、どのように性欲を処理していたかを知っているからだ。アメリカは終戦時、日本政府に慰安所の設置を要求した。大蔵官僚だった池田勇人(のちに首相)が一億円を工面し、この要求に応えている。
当初は中韓に同調していたアメリカは、これ以上、慰安婦問題をほじくり返せば、いずれはわが身の古傷も問題にされかねない。依然として安倍の七十年談話に村山談話を継承すべきだとはいうものの、それは中韓へのリップサービスで、いまやホンネは安倍が談話をどう書こうが黙認する構えだ。
アメリカの離反を察知する韓国は大慌て。いまや各紙は「韓国孤立論」を掲げ、そこに朴槿惠批判を籠める。歴史問題を国内政治や外交の道具に使えば、いずれは「天に唾する」結果となることを、アメリカも韓国もようやく悟ったらしい。
九段靖之介
読み込み中…