2015年06月18日

彼女たちのどうでもいい秘密


著者:神尾丈治
出版社:一迅社文庫
彼女たちのどうでもいい秘密

主人公は、平凡な高校生・音無武士。学校からの帰り道に、誰かにつけられていることに気がつき、公園へ。振り向き様にスマホのライトで照らし、犯人を突き止めようとしたところ、そこにはクラスメイトの完璧美少女・新井凛だった。しかも、凛は恐怖のあまりお漏らしをしてしまう…本来、ストーキングをしていた凛のほうが悪いはずだけど、こういったことが起こった際不利になるのは、男のほうで、武士もなぜか彼女に脅されることに…秘密をばらさないことを担保するため、なぜか生徒会長を務める凛の片腕としてこき使われることになってしまいます。なんだかんだで、美少女に頼られることにまんざらでもない武士。しかし、今まで接点のなかった二人がよく一緒にいることを周りが疑いだします。それが原因で、凛の秘密がバレてしまうかもしれない。そこで凛が提案したのは「少しの事実をまぜて嘘をつく」ということ。つまり、凛がトイレに入っているところに、武士が誤って扉を開けてしまい、彼女の放尿シーンを目撃したと…これって、武士の人生が終わりそうですが、凛にもダメージが大きいような気がします。

さらに、オシャレでかつ年上彼氏がいていろんなことをしているという噂の長篠あかねにも目をつけられることになり…実際には、彼氏などいないにも関わらず、その場のノリで彼氏がいることにされ、さらにそれがエスカレートしていってしまったため、秘密がバレたら人生終わりということで、武士を「ニセ彼氏」に仕立て上げ「年上」ということだけが嘘だったということにしたいとのこと。可愛い女の子からの頼みということで、武士も協力することになるのですが、なぜか凛がちょっかいを出してきます。

最初はフェイクだったはずの美少女二人との関わり。それが、いつの間にかどんどん現実に変わっていくというラブコメ。二人の女の子の思わせぶりな言動に、モヤモヤさせられる武士が面白いですね。

さらにこの作品にスパイスを与えているのは、武士の妹。元々かわいらしい声だったのが、風邪をこじらせた時に低めの声になり、それを武士に笑われたという理由で、武士の前でほとんど口をきかない彼女。でも兄妹仲が悪いわけではなく、二人の間ではモールス信号やらハンドサインなどで会話が成り立ち、ある意味普通の兄妹より仲がいいようです。この妹が、妙にハイスペックで面白い。

この作品は続編があるのかなあ? この作者さん、かなり遅筆ですからねえ。

★★★☆
タグ:ラブコメ
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2015年06月15日

ひとりで生きるもん!(2) およめ券のその後


著者:暁雪
出版社:MF文庫
ひとりで生きるもん!(2) およめ券のその後

いちゃ甘ラブコメの2巻。というか物語は前巻でほぼ完結していたので、後日談のような感じですね。
高嶺の花だったはずの湊千紗が最愛の彼女になった、元ぼっち・織田慶人。前巻のラストでは、まるで映画のシーンのような別れをした二人。昔だったら、手紙ぐらいしか連絡方法のない距離だった日本とフランス。しかし今はSkypeなどがあり、相手の声どころか姿まで見ることが出来る。しかもかかる料金はネット接続料のみ。そういった理由で、離れていても、二人はラブラブのまま。さらに会いに行こうと思えばいける距離。でも慶人は、彼女にふさわしい男になるまでは! 「およめ券」を行使できるようになるまでは、と我慢の毎日。そんな中、千紗から「最近の慶人さ、ちょっとわたしに甘すぎない?」と言われてしまいます。この言葉に一念発起した慶人は、自分の将来を見つめなおし、バイト先の先輩が所属する劇団で、喜劇の脚本に挑戦することに。なかなか、採用してもらえない日々が続く中、千紗から「夏休みに遊びにいく」と告げられます。

ツンデレおじさんことマスターと、千紗たちを迎えに空港へ向かう慶人。久しぶりに千紗と出会った慶人は、またもや映画のシーンのような再会を演じます。もう好きにして……さらに、千紗たちが慶人の家に滞在することになっており、うれしいながらも戸惑う慶人。もう両家の親にも公認なんですね。

ということで、うれし恥ずかしの同居生活が描かれます。前回は漫才の台本でしたが、今回は喜劇の台本。二人の共作で最高のものができあがったようですが、今回はその内容についての詳細は描かれることがありませんでした。ちょっと残念ですね。

なんだかもう、次のステップに進んでしまっても、まわりが認めてしまいそうな二人ですが、そういったことは考えていないようですね。お互い好感度MAXのため、相手を大切に想って先に進めないのかな?

二人のまっすぐなイチャラブぶりが、すがすがしい作品です。後日談という扱いで、どうなるかと思いましたが、さらに清純イチャラブでしたか。この作品に出てくる人物は、みないい人で、それも読みやすい原因でしょうね。

「およめ券」の行方はどうなったのか? もう答えは出ているも同然ですが、みなさんの目で確かめて下さい。その価値はある作品です。

★★★★
posted by あにあむ at 15:04| Comment(0) | TrackBack(0) | MF文庫

2015年06月12日

姫騎士くえすと


著者:高尾瑞夫
出版社:一迅社文庫
姫騎士くえすと

主人公は、少年騎士・ヒート。魔王復活の時が近づきつつあることを察知した王国騎士団は、ヒートとヒートの飼い主を自称する姫騎士・クリス=ローザに、魔王殺しの魔剣の封印を解く任務を与えます。その方法というのが、100人分の姫騎士のマナを吸うこと。そのマナにより、魔剣を覚醒させることが出来る。マナを吸うためには、姫騎士を性的に絶頂させる必要があるということで、エロ一直線ですね。この「性的絶頂」をネタにしたラノベは今までも多々ありました(というか、最近無茶苦茶多い) この作品は、その手のシーンだらけになっているというのが特徴ですね。

まず、クリスはヒートにベタ惚れ。にも関わらず、ヒートが姫騎士とそういうことするのは、仕方なしに許しているようです。ただし本番は絶対ダメと……姫騎士ごとに性格や年齢が異なるということで、いろんなパターンでマナを吸っていくヒート。さらには、以前仲間だった姫騎士も登場してラブコメも……

この作品、どう考えてもレーベル間違いです。ただ18禁レーベルとしてだったら、あまりにもレベルが低すぎて出版出来なかったかな? いずれにせよ中途半端ですね。それぞれの姫騎士の描きわけなど、基本しっかりしたストーリーになっているだけに惜しいなと。まずエロシーンを設定して、そこにストーリーを持って行こうとしているようで、エロシーン前から、ストーリー展開が強引になっているんです。別にこのシーン、すっ飛ばしてもよかったのでは? エロコメは、寸止めが面白いのであって、この作品みたいに最後までいたしてしまうと、面白さは半減してしまいます。特に後半は、本番シーンだらけだし……

読書メーターでは、案外人気高いんですよねえ。そういった作品が好きな人ほど、頼りなく感じると思ったんだけどなあ。

★☆
posted by あにあむ at 10:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 一迅社文庫