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悪質運転 厳罰化進むも事故は後絶たず
6月12日 19時20分

悪質運転 厳罰化進むも事故は後絶たず
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飲酒運転やスピード違反などの悪質な運転を巡っては、悲惨な事故が起きるたびに厳罰化が進められてきました。
平成11年に東京・世田谷区の東名高速道路で乗用車が飲酒運転のトラックに追突され、幼い子ども2人が死亡した事故などを受けて、悪質な違反を伴う交通事故の罰則を強化するのを目的に、2年後の平成13年の刑法改正で「危険運転致死傷罪」が新たに設けられました。危険な状態で車を運転して人を死亡させたり、けがをさせたりした場合に適用され、罰則は最高で懲役20年になりました。
平成18年には福岡市で一家5人が乗った車が飲酒運転の車に追突されて海に転落し、幼いきょうだい3人が犠牲になった事故が起き、この事故のよくとしに改正された道路交通法で、酒気帯び運転やひき逃げなどの罰則が強化され、飲酒運転で死亡ひき逃げ事件を起こした場合の最も重い罰則が懲役15年にまで引き上げられました。
さらに、去年5月には、悪質な運転に対する罰則を強化する新たな法律「自動車運転死傷行為処罰法」が施行され、適用条件が厳しいと批判されてきた「危険運転致死傷罪」を、これまでより幅広く適用できるようにしました。
また、飲酒や薬物の影響で事故を起こしたあと、逃走して発覚を免れようとする、いわゆる「逃げ得」を許さないため、こうした行為を罰する「発覚免脱罪」が新たに設けられ、現場から逃げた場合、従来のひき逃げの罪と合わせて、刑の上限が懲役18年に引き上げられました。
こうした厳罰化のなかで、飲酒運転による事故は去年1年間で4155件、このうち死亡事故は227件と、いずれもこの10年間で3分の1以下に減りました。しかし、去年7月には北海道小樽市で海水浴帰りの女性4人が飲酒運転の車にひき逃げされて3人が死亡、1人が大けがをしたほか、去年8月には静岡県沼津市で、車に乗っていた夫婦が一方通行の道路を逆走してきた酒気帯び運転の車に衝突されて死亡するなど、今も飲酒運転による死亡事故は後を絶ちません。
北海道でも飲酒運転は相次いでいて、去年1年間に起きた飲酒運転による事故は186件と、全国で5番目に多いうえ、死亡事故は17件と最も多くなっています。
警察庁は引き続き、飲酒運転の取締りを徹底することにしています。

事故で家族亡くした遺族は

16年前、東京の東名高速道路で飲酒運転のトラックに追突され、3歳と1歳の娘を亡くした千葉市の井上郁美さんは、今回の事故について「一度に4人もの命が奪われ、大変な事件が起きたと思った。容疑者はとても悪質で、危険な運転をしていて、事故後の対応もひどい」と話していました。そのうえで「厳罰化が進んで、飲酒運転撲滅を目指す風潮は世の中に広がったと感じているが、10代、20代の若者の悪質な運転が後を絶たないと感じている。若者たちへの啓発を進める対策が必要だと思う」と話していました。
12年前、当時16歳だった次男を飲酒運転によるひき逃げ事件で亡くした、北海道江別市の高石洋子さんは、今回の事件でも飲酒運転が疑われていることについて「去年、小樽市で飲酒ひき逃げ事件があったばかりなのに、またひどい事件が起きてしまい、胸が締めつけられる思いです。こうしたことを二度と繰り返さないためにも、一人一人がひと事と考えるのではなく、みずからが加害者にも被害者にもなりうるという意識を持ってもらいたいです」と話しています。
16年前、鳥取県で起きた飲酒運転の乗用車による事故で次女を亡くした、島根県出雲市の江角弘道さんは、逮捕された男が事故の前、酒を飲んでいた疑いがあることについて、「私たちが活動をしていても、このような事故が何度も起こるので残念です。安全運転で加害者にならないということを肝に銘じてほしい」と話していました。

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