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 新しい駅ビルが4月に開業したJR大分駅にある大分市観光案内所で、初めての外国人スタッフ、フランス人のコルヂエ・サロメさん(23)が奮闘中だ。留学が縁で大分に住むようになり、4月から週4日、観光案内の窓口に立つ。母国語と日本語、英語、スペイン語の4カ国語を使い、国内外の観光客に観光スポットや飲食店を紹介している。

 「チケットは持ってますか」。夕刻、バス停を探す若い男女の来訪を受けたコルヂエさん。滑らかな日本語で問いかけた。地図を指さし、バス停の場所を説明する。2人が出て行くと、今度はアジア系の女性2人がやってきて、コルヂエさんは英語で案内を始めた。優しい笑顔が旅行者の気持ちを和ませる。

 コルヂエさんは、フランスのブルターニュ地方に生まれた。フランスでも人気のポケットモンスター、ドラゴンボールといったアニメ、京都の寺社や歴史を紹介するドキュメンタリーを見て、日本に関心をもつように。西部にある都市・レンヌの大学に進むと、美術史と考古学を専攻する傍ら日本語を2年間学んだ。

 思いは深まり、2012年から大分大学に1年間留学。「もっと日本語を勉強したい」と考え、フランスに一時帰国してビザをとり、大学卒業後に再び大分へ。昨年9月には、留学期間中に出会った大分の日本人男性と結婚した。

 以前は、フランスで観光地を案内する仕事に就きたいと考えていたコルヂエさん。今春、夫から観光案内所の求人募集が出ているのを教えてもらい、迷わず応募。市観光協会の嘱託職員に採用された。

 最初は緊張した。「知らないことを聞かれたらどうしよう」。駅前が区画整理で新しくなり、バス停の位置が覚えられるかどうかも不安だったという。