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 東京電力は17日、福島第一原発事故をめぐる商工業者の営業損害の賠償や避難者への慰謝料について、新たに約3100億円を追加で支払う方針を明らかにした。これで事故による損害賠償の総額は6兆5千億円に迫る見通し。政府と東電が両賠償の終了時期を示したことで、一部で不透明感は残るものの、ほぼ全体像が見えてきた。

 今回の見通しは、政府が12日に閣議決定した福島復興加速化指針の改訂版に沿って、追加の賠償額を算出した。東電が近く改訂する再建計画(新総合特別事業計画)にも反映させる。

 東電によると、商工業者に対する営業損害は、2016年度までの2年分をまとめて払うのに約2300億円が必要で、原則としてこれで終了する。避難者への慰謝料も避難指示の解除時期にかかわらず、17年度までの分を先に渡す。追加支払いには約800億円がかかる見通しだという。

 ただ、賠償期間の終了後も営業損害が出たり、政府の目標通りに避難指示が解除できなかったりすると、東電は支払いを続ける必要がある。農林漁業者への賠償も16年12月に期限を迎えるが、期間が延長されれば、賠償総額はさらに膨らむことになる。