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不正軽油「安さ」求め横行 背景に税法上の問題

 税負担を免れるため、重油や灯油を混ぜた不正軽油を販売する業者が全国で後を絶たない。都道府県が定期的に調査を続けるが、厳しい販売競争の中、安さを強調して売り上げ増を狙う販売側と、コスト削減につながる購入者側の思惑が合致し、不正はなくならない。専門家は「軽油には税金がかかるが、他の燃料を混合したものは課税対象とならない税法上の問題も潜む」と指摘する。

 京都府は毎年、路上や工事現場、ガソリンスタンドなどで軽油の抜き取り調査をしている。2013年度は採取した計929件のうち、28件に不正の疑いがあった。記録が残る10年度以降、毎年10件以上で不正が発覚しているという。

 通常、軽油を販売する場合、1リットル当たり32・1円の地方税が課せられる。一方、不正軽油は単価の安い重油を混ぜ、同税を免れることで、市価より安い価格で販売されるケースが多い。石油製品販売業者でつくる東京都石油協同組合は「業界でガソリン1リットルを販売して10円の利益と言われる中、32・1円の税負担は大きい。リスクを承知の上で不正軽油を扱う業者がいるのは確かだ」と話す。

 不正軽油が絡む脱税事件は全国で相次いでいる。京都府警は15日、重油と灯油を混ぜた油を販売し、軽油引取税約1800万円を脱税したとして、地方税法違反容疑で京田辺市の業者を逮捕した。大阪府警は11年、愛知県警は12年に、不正軽油を製造して売り上げを申告しなかったとして同法違反で石油販売会社社長らを逮捕している。

 軽油引取税は都道府県の重要財源の一つだ。京都府では、府税収入の5%に当たる約130億円(13年度)を占めた。府税務課によると、過去の脱税事件では、全額弁済されない例が多いという。

 三木義一青山学院大教授(租税法)は「軽油やガソリンだけでなく、車の燃料として使われているものには全て自動車燃料税を課すのも一案かもしれない」と提案する。

【 2015年06月18日 17時10分 】

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