産業医制度の問題点
スリープクリニックの遠藤拓郎さん
http://www.sleepmedicine-tokyo.com/doctor/
から教えていただいたことに,私の調べたことや考えも含めて記載します。
産業医制度は,遠藤さんに拠ると大きな問題を孕む制度だそうです。
恐らく,私が受けたような意図的な誤診が産業医によって為され,大勢の人間がフェードアウトしていると思います。
まず,産業医とは
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%8C%BB
選任
事業者は、すべての業種において、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに1人以上の産業医を選任しなければならない。常時3000人を超える労働者を使用する事業場においては、2人以上の産業医を選任しなければならない(労働安全衛生法13条)。事業者は、産業医を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任しなければならず、選任したときは遅滞なく選任報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。安全衛生管理に係る他職とは異なり、行政官庁による監督に関する規定はない。
以下の事業場については、産業医はその事業場に専属の者でなければならない。
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というふうに決められています。
医師法もありますので,表向きは,わざわざ企業が従業員のためを思って,福利厚生で医師を用意している。
・・・・と思われますが,実際はそうではありません。
遠藤先生に拠れば,産業医は会社の費用で高給で雇っていただけるそうです。
患者がどれだけ来ようとも,9-17時とか,拘束時間に見合って所定の費用を会社から支給されるそうです。
費用が天引きされるので,てっきり開業医と同じかと思い込んでいたのですが,確かに言われるとその通りですね。
わざわざ開業医でたくさんの患者が見込める名医が,わざわざ産業医として,社内でどれだけ患者がいるか分からないようなところに好き好んで行くとは思えません。
というわけで,産業医には,開業医でたくさんの患者が見込める名医ではなく,患者が見込めないいわば"二流"の医者が,高給で雇ってもらうものだそうです。
そうすると,"二流"の医者が,高給で末永く雇ってもらうためには,会社の意向を聞かざるを得ません。
こうやって,医師法では許されていない,産業医と会社の癒着が,実際問題起きているそうです。
私が遭った誤診もその一環です。
遠藤先生に拠れば,本当に会社のためを思うのであれば,本来は産業医制度を廃止して開業医ばかりにして,労働者が医者を自ら選べるべきとのことでした。
そして,ここからは私の想像なのですが,辺境の地にある原発にも,当然産業医の設置が義務付けられます。
原発の労働者はそれほど高学歴ではありません。
その方々が,体の調子が悪くなったからといって,電力会社等の雇った産業医を受診し,本来それが被曝による症状であっても,風邪だの精神病だのそれらしい病名を言われ,それを基にして休職だのしてフェードアウトしたとしても,多くの人は産業医の診断を信じ込んでしまうと思うのです。
会社は定められた被曝量の測定計の取り付けをわざとさせないようにするなど,いくら悪いことを強要しようとも,まさか自分が費用を払って受診した産業医が,会社と結託して意図的な誤診をしていようとは,原発の労働者は思わないのではないかと思います。
もちろん,全く説明がないとかトンチンカンな説明であれば不審に思うかもですが,ある程度難しくそれらしい説明をされれば,原発の労働者の理解の範疇を越え,そこまでわざわざ根掘り葉掘り,学のない自分が聞くのは逆に悪いという気持ちを,原発の労働者が持ってしまうのではないかと思います。
以上の想定から,私は,理念としては原発は決して悪いとは言えないのではないかとも思うのですが,実運用上,労働者の人権が蹂躙され兼ねないシステムであり,事実労働者の人権が蹂躙されている事例をいくつも聞くにつけ,原発の運用はなんとしても停止せねばならないと思っています。
なお,こういうところにも,日本では戦争に参加していないにも関わらず,労働者の人権が蹂躙されている実例を見つけられます。
このような問題を無視して,日本は憲法第九条があるから平和である,などと言えるはずはないと思います。
うつ病の増加にしろ,その先にある自殺や不審死の増加にしろ,トータルで考えた場合,たとえば各国において,戦争に参加することにより人権を蹂躙している人数と,戦闘には参加していないが人権を蹂躙されていて,うつ病や自殺で瀕死の状態で苦しんでいる人数を合算した場合に,日本のほうがその総数は多いのではないかと思います。
平和は,戦争ではないというものさしだけで測れるものではありません。
しかし,より大きな,基本的人権が尊重されているかどうか,このものさしだけで平和を測ることは可能なのではないかと,私は思うのです。
言い換えれば,基本的人権の尊重を目指すべきところに,基本的人権を尊重した結果であるはずの,戦争の放棄が記載されて大上段に掲げられるのは,非常にいびつでおかしなことであると思います。
憲法第九条は,基本的人権の尊重と比較してダブルスタンダードであると思います。
話を戻しまして,自分に合った医者を選ぶのは,これまた労働者に与えられるべきひとつの権利であると思います。
それを,産業医制度という名の下で,会社の意図を汲む医者にしか診察してもらえないように義務付けられているとすれば,患者の基本的人権が尊重されていないと私は考えます。
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