党首討論:首相、安保は合憲…真っ向対立
毎日新聞 2015年06月17日 21時17分(最終更新 06月17日 23時32分)
安倍晋三首相と民主党の岡田克也代表ら野党3党首の党首討論が17日、行われた。首相は集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案について「憲法の範囲内にあるからこそ法律として提出している。正当性、合法性に完全に確信を持っている」と述べ、「憲法違反」との指摘に反論した。岡田氏は「とても憲法に合致していない。違憲だ」と述べるなど、主張は真っ向から対立した。
党首討論は今国会2回目。4日の衆院憲法審査会で憲法学者3人が関連法案を「違憲」と指摘して以降、首相が国会での安保論戦に臨んだのは初めて。
首相は1972年の政府見解で「憲法上許されない」とされた集団的自衛権の行使容認に踏み切ったことに関し、「あの段階の国際状況では、必要最小限度を超えると考えた。しかし、必要な自衛の措置がどこまでかは常に国際状況を見て判断しなければならない」と発言。「一国のみで自国の安全を守ることはできない」と理解を求めた。これに対し、岡田氏は「何が憲法に合致し、何が違反するかが法律で決められていない。時の内閣に武力行使の判断を丸投げしている」と批判。昨年7月の憲法解釈の変更について「歴代内閣が認めなかったことを閣議決定で決めた。首相のやったことは罪が重い」と語った。
共産党の志位和夫委員長は、自衛隊による他国軍への後方支援に関し「兵站(へいたん)は武力行使と一体不可分で、軍事目標とされるのは世界と軍事の常識だ。『武力行使と一体でない後方支援』という議論は通用しない」と語った。首相は「『一体化』は国際法の観点ではなく、憲法との関係で概念を整理した」と述べ、「大切な物資を届けるからこそ、安全な場所で相手に渡すのが今や常識だ」と反論した。
一方、維新の党の松野頼久代表は「1票の格差」を是正する参院選挙制度改革の実行を迫った。首相は維新など野党4党がまとめた都道府県をまたぐ「合区」を含む改革案を「傾聴に値する」と評価したが、参院自民党には合区に慎重論があり、「立法府の責任を果たすのは当然。党総裁として党に取りまとめの指示をしている」と述べるにとどめた。【高本耕太】