福島原発事故:楢葉町の避難指示解除、8月のお盆前に

毎日新聞 2015年06月17日 11時49分(最終更新 06月17日 17時20分)

来年3月までの完成を目指して整備が進む楢葉町立楢葉中学校=福島県楢葉町で2015年2月23日、栗田慎一撮影
来年3月までの完成を目指して整備が進む楢葉町立楢葉中学校=福島県楢葉町で2015年2月23日、栗田慎一撮影

 政府の原子力災害現地対策本部(本部長、高木陽介・副経済産業相)は17日、東京電力福島第1原発事故で全町民が避難する福島県楢葉町の避難指示解除について、8月中旬のお盆前に実施する考えを明らかにした。避難指示が解除されるのは田村市の都路地区と川内村東部に続き3例目で、全町村避難が続く県内7町村では初めて。

 楢葉町の町議会議事堂で開かれた町議会の全員協議会で、高木本部長らが示した。7月5日に終了するとしていた避難指示解除に向けた準備宿泊は約1カ月間延長するとした。

 これに対し、一部の議員らは、田村市都路地区や川内村東部では準備宿泊が3カ月程度延長された後に避難指示が解除されたことを指摘し、「時期尚早」と反発。政府側は「楢葉町は国の除染が終わって1年以上も帰還準備を進めてきた」と説明し、除染終了直後から準備宿泊を始めた二つのケースとの違いを強調した。

 同本部によると、楢葉町の準備宿泊に登録している町民は人口約7400人の約1割で、実際には100人程度しか寝泊まりしていない。政府は19日から福島県いわき市などで住民懇談会を開き、町民らにも解除方針について説明する。【栗田慎一】

 【ことば】避難指示区域

 福島第1原発が2011年12月に冷温停止状態となったため、政府は12年4月から警戒区域と計画的避難区域を、帰還困難区域(年間積算放射線量50ミリシーベルト超)▽居住制限区域(同20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)▽避難指示解除準備区域(同20ミリシーベルト以下)−−に順次再編。線量の低い区域から除染など帰還に向けた事業を始める一方、線量の高い区域ほど賠償額を高くした。避難指示が出ている自治体は現在、一部地域が避難指示区域に入る福島県南相馬市や川俣町、川内村を含め10市町村。楢葉町は12年8月、住民が居住する全域が避難指示解除準備区域となった。

 政府は今月12日、居住制限区域と避難指示解除準備区域の避難指示を17年3月までに解除することを閣議決定した。

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