避難指示:「若い世代、帰還しない」…楢葉8月解除に批判

毎日新聞 2015年06月18日 00時55分

 東京電力福島第1原発事故で全町避難する福島県楢葉町の避難指示について、政府の原子力災害現地対策本部(本部長、高木陽介・副経済産業相)が17日、「8月中旬のお盆前に解除」との方針を示したことに「若い世代は帰還しない」などの批判が相次いだ。

 高木本部長は、除染が終わり、インフラも整っているとして「考えを変えるつもりはない」と述べた。政府は、今月末にも具体的な解除日を決める方針だ。

 楢葉町は住民が居住する全域が避難指示解除準備区域(年間積算放射線量20ミリシーベルト以下)に指定されている。

 避難指示が解除されれば田村市都路地区と川内村東部に続き3例目、全町村避難が続く県内7町村では初めてとなる。

 高木本部長らは楢葉町議会の全員協議会で説明したが、議員の一部が「時期尚早」と反発して一時中断。

 再開後に政府側は「意見を真摯(しんし)に受け止める」としたが、解除時期の再検討に応じる姿勢は示さず、住民懇談会で町民の意見を聞いた上で最終判断すると説明した。

 対策本部はこの日の行政区長会でも方針を説明。下小塙(しもこばな)地区の松本哲雄区長(67)は「現状では子を持つ若い世代の多くは戻らない。解除の環境が整ったと言えるのか」と不信感をあらわにした。【栗田慎一】

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