根津弥
2015年6月17日13時41分
海外在住を理由に被爆者援護法にもとづく医療費を支給しないのは違法だとして、米国に住む被爆者13人が支給申請を却下した処分の取り消しと国家賠償を求めた訴訟の判決が17日、広島地裁であった。梅本圭一郎裁判長(小西洋裁判長代読)は原告側の請求を退けた。
約1千人いるとされる在米被爆者の医療費をめぐる判決は初めて。3千人余りとされる韓国在住の被爆者については、2013年10月の大阪地裁判決が「援護法には医療費支給を国内の被爆者に限る規定はない」として支給対象と認め、大阪高裁も支持した(大阪府が上告)。一方で、昨年3月の長崎地裁判決は「援護法は国内で医療を受けることを前提としている」として被爆者の訴えを退け、福岡高裁で控訴審が続いている。
広島地裁判決で敗訴した13人は76~86歳の男女で、70年前の広島への原爆投下で被爆し、仕事などで米国に渡った。被爆者健康手帳を取得しているが、医療費の支給申請が広島県から受理されなかったために12年3月に提訴。同県は提訴後に申請を受理したうえで、却下処分としていた。(根津弥)
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