「1:運動部のレギュラー」「2:運動部の控え」「3:それ以外」
運動部出身と文化部出身の二択なら、仲睦まじく出来るのはまちがいなく文化部出身だ。運動部で培ったスピリットをそのまま社会人生活に持ち込む人の多くは、事あるごとに肩を組もうとしてくる……というのは確かな統計ではなく個人的な偏見。運動部出身を一括りにしているわけではない。これまた偏見だが、運動部の控えだった人ならば共闘できると思っている。だが、初対面で「学生時代、何をやっていたのですか?」「えっと、サッカー」とまでは聞けても、それがレギュラーだったか、控えだったか、を判別する情報を得るのは容易ではない。
学生時代を「1:運動部のレギュラー」「2:運動部の控え」「3:それ以外」に区分けしたい。自分の中学時代は、サッカー部の控えゴールキーパーであり、その座すら後輩に奪われるという生粋の「2」だ。高校時代こそ弱小バレー部のレギュラー、つまり「1」だったが、人数が少なかったから、そもそも「2」が存在しない上での「1」であり、限りなく「2」に近い「1」だ。中学時代、私から控えゴールキーパーの座を奪った後輩はどこまでも礼儀正しく、先輩であるという一点のみでこちらを持ち上げ続けた。彼が丁寧であればあるほど、こちらの「2」の濃度は高まっていく。おかげで、中学を卒業してからもう15年以上経つが、まだ「2」の意識が消えない。
練習に来ないヤンキーみたいなヤツがスーパーゴールを決める
最近、「クズ芸人」「炎上芸人」との触れ込みでドランクドラゴン・鈴木拓を頻繁に見かけるようになったが、彼の著書『クズころがし』(主婦と生活社)を通読し、彼が生粋の「2」だと分かり嬉しくなった。中高6年間サッカー部に在籍した鈴木は、6年間、一度たりとも試合に出られなかった。部員が100人程度、1軍から5軍まで分かれていた強豪校で、3軍のキャプテンを務めた高校時代を経て鈴木は、「1」には持ち得ないねじ曲がった見地を得る。「ハッキリ言えます。才能がない者は努力したってムダです。センスのない者は努力するな、です」。
鈴木は懸命に練習に打ち込んだものの、「普段はあまり真面目に練習にも出てこないようなヤンキーみたいなヤツが、(中略)出たらいきなりスゲェ、スーパーゴール決めたりするんです。それが現実なんです」。そう、「2」は押し並べてその辛酸をなめている。「1」の中でも突出して大活躍するヤツというのは、「2」が「1」になろうとするための努力を根本的に怠っているか、すんなり結実させてきたケースが多い。それに直面すると「2」は行き場を失う。「1」と結託するのは論外、部活を離れたところで「3」がスムーズに受け入れてくれるとは限らない。「3」は、「1」と「2」の区分けをしない。
真っ向から対立する高橋みなみと鈴木拓の主張
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