キネマ旬報日々雑感/編集部ブログ
06 22


2011/06/22 21:13

現在発売中の7月上旬号は、
5月9日に亡くなられた東映の元社長(というより映画プロデューサー、
というより最後のカツドウ屋)の岡田茂さんを大特集しています。
表紙は「日本侠客伝」(高倉健さん、中村錦之助さん)。
「時代を読みながら何でもやる。変幻自在がうち(東映)の特徴」と語っていたとおり、
反戦映画から、時代劇、文芸映画、任侠映画、実録映画、エログロまで、
観客の好みを敏感に読みとり、
多種多様な映画を作ってきた“映画製作者・岡田茂”とは、どんな存在だったのか!
自身の発言、関係者の方々のお話、
代表的なプロデュース作品の解説など、多方面から、
“最後のカツドウ屋・岡田茂”に迫っています。

この特集の一つに、2001年に行った岡田茂さんのインタビューの再録があります。 
これは、10年前に本誌の東映50周年企画で
岡田茂さんの軌跡と東映50年の歴史をお伺いしたものですが、
当時スペースの関係で泣く泣くカットした部分も多々あり、
今回はそれを復元して全長版で掲載しようと。
そこで、山のようにある取材テープから岡田さんの取材テープを探し出し
(10年前のものなのによく見つかったなあ)、改めて聞きなおす作業から始めました。

広島弁まじりの岡田さんの話を聞くうちに当時が甦り、
岡田さんを目の前にして、ガチガチに緊張する聞き手である
若輩の我々(当時の編集長の関口裕子さんと私)に、
岡田さんがとても気さくに接してくれたことを思い出しました。
インタビューが進んでいくと、話の合間に「お茶、残っているか? 大丈夫か?」
と気遣ってくださる声がしっかり収録されていて、
ありがたい気持ちと同時に、ちょっと笑ってしまいました。

そんなお人柄は、今回取材をお願いした
澤島忠さん、佐藤純彌さん、鈴木則文さん、降旗康男さん、
中島貞夫さん、高岩淡さん、角川春樹さん、坂上順さんのお話の中でも
たっぷり語っていただいております。必読です。

(前野)


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