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【おくやみ】

高橋治さん死去 直木賞「風の盆恋歌」

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 「風の盆恋歌」など繊細な美意識に彩られた恋愛小説で知られた作家の高橋治(たかはしおさむ)さんが十三日午前八時十六分、肺炎のため神奈川県の自宅で死去した。八十六歳。千葉市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻留美子(るみこ)さんと長男文月涼(ふづきりょう)さん。

 金沢の旧制四高を経て東大国文科を卒業後、松竹に入社。「東京物語」の助監督として小津安二郎監督のもとで働き、後に監督となった。

 一九六五年に退社して文筆生活に入り、シベリア出兵を扱ったノンフィクション「派兵」などを発表。八四年に釣りの名人を主人公にした「秘伝」で直木賞を受賞した。

 八五年には、富山市の行事「おわら風の盆」を舞台にした「風の盆恋歌」がベストセラーに。「別れてのちの恋歌」で八八年、第一回柴田錬三郎賞を受賞した。九六年に「星の衣」で吉川英治文学賞。八八年には石川県に白山麓僻村(へきそん)塾を開校。環境問題や伝統文化をテーマに講義や討論会を続けた。

 八九年七月から一年間、本紙朝刊に小説「さまよう霧の恋歌」を連載。相撲好きとして知られ、東京中日スポーツに二〇一二年まで約二十年間、相撲評論「私は見た!」を執筆した。

 

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