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【異色のサイバー指揮官(2)】警察官へ「デジタルのイロハ」講義、まずは“モザイクの外し方”から…羽室英太郎・奈良県警本部長

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【異色のサイバー指揮官(2)】
警察官へ「デジタルのイロハ」講義、まずは“モザイクの外し方”から…羽室英太郎・奈良県警本部長

昭和58年、九州管区警察局福岡県通信部で無線担当だったころ。鉄塔に登っての高所作業もあったという(本人提供)

 --入庁後はどんな仕事を

 羽室 実は、無線関係業務が一番長いです。平成7(1995)年に教授を務めた警察大学校警察通信研究センターでは、デジタル警察無線の暗号化も担当しました。

 --オウム真理教による地下鉄サリン事件が発生し、強制捜査など事件の全容解明が始まった年です

 羽室 実は、オウムは信者同士でパソコン通信を使って通信文の送受信をしていた。暗号化したデータを解読しなければ真相究明には至らないわけです。

 そこで、押収時に壊されたフロッピーディスク(FD)からデータを抽出しろとなったんですけど、正直なところ、「えっ、おれがこれ解読しなくちゃいけないの」という思いでした(笑)。

 でも、誰もやる人間がいなかったから、なんとか力を合わせてやるしかなかった。それから、サイバー犯罪捜査の担当をするようになりました。

 --警察庁の体制は

 羽室 当時は、警察庁全体として担当する部署がなかったんです。全国の都道府県警察を結ぶ通信部門とコンピューター関係の情報管理を行う情報管理課はありましたが、実際に解析を行う部署はなかった。

 --専門家もいなかった?

 羽室 8年に警察庁情報管理課に解析担当の係ができ、私は補佐としてコンピューター犯罪捜査に関わるようになりました。各課から人を出させてプロジェクトチームをつくって、私はプロジェクトリーダーとして警察大学校警察通信研究センターと連携しながら、技術的な解明に取り組みました。

 --まず体制づくりから

 羽室 警察に限らず、法執行機関というのは、ある意味文系の“牙城”。法律に詳しい人間は多数いるが、技術は分かりません。あるとき、データ解析するからFDのコピーを送るようにと指示すると、FDのラベルを複写機でコピーして、紙を送りつけてきた。「言われた通り送ったやないか」と言うんですけど、「そうじゃない!」と一から説明したり。そういうことが多々ありました。

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