東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

発送電分離20年スタート 改正電気事業法成立

写真

 二〇二〇年四月に大手電力会社から送配電部門を切り離して「発送電分離」する改正電気事業法が十七日午前、参院本会議で可決、成立した。発電や電力小売りの競争を促して料金値下げを目指す「電力システム改革」の総仕上げ。しかし、政府が原発を維持するため改革を先送りしたり、原発優遇策を拡充して自由化の理念をゆがめる恐れもある。

 すでに家庭に電気を販売する小売り事業は一六年に自由化されることが決まっている。今回の法改正で、大手電力会社は、これまで独占してきた送配電網を別会社にし、自社グループと新規参入の発電会社などが同じ条件で使えるようにする。不透明だった送配電網の利用条件をはっきりさせることで発電事業への参入業者を増やし、効率的で安価な発電を競うよう促す。

 しかし付則には、今後の原発の稼働状況などをチェックし、場合によって「必要な措置を講じる」との一文を盛り込んだ。政府は二〇三〇年に必要な電力の20〜22%を原発でまかなう方針を決めており、原発が稼働しなければ改革を先送りする恐れがある。また、政府は原発比率を高めるため「事業環境の整備」をするとしており、優遇措置が増える可能性もある。

 一方、改正ガス事業法も同時に可決した。一七年をめどに都市ガスの小売り事業を自由化し、電気とガスのセット販売などが可能になる。二二年四月には事業規模の大きな東京、大阪、東邦(名古屋市)の大手ガス三社はガスの導管事業を別会社化する。

 <電力システム改革> 大手電力会社の地域独占を見直すことで、電気料金の引き下げやサービス拡大につなげる改革。電気事業法を改正して3段階に分けて進めている。第1段階として、全国規模での電力融通を指揮する新組織「電力広域的運営推進機関」が今年4月に発足した。第2弾は2016年4月の電力小売り自由化で、発送電分離は最終段階となる。

 

この記事を印刷する

PR情報